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九十九里小旅行 [その他]

幼稚園でのピエロショーのついでに、国民宿舎サンライズ九十九里に泊まってみました。

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その名の通り朝日を見ることができるホテルです。チェックインの際に日の出の時刻を教えてくれます。その朝は6時15。客室からはもちろん、レストラン、客室階にある展望室、それに大浴場からも朝日を望めます。湯船に浸かりながら眺める日の出は最高でした。

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ロビーには時節柄、たくさんの雛人形が飾ってありました。壮観です。

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宿舎の裏庭を抜けて、有料道路の下のトンネルを抜けると砂浜に出られます。

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トンネルの前で「智恵子抄詩碑」という案内板を見つけました。

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詩人の高村光太郎の妻である智恵子は、昭和9年の5月から12月までの8ヶ月の間、近くの「田村別荘」で転地療養をしていました。光太郎は週に一度必ず見舞いに来たそうです。

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『千鳥と遊ぶ智恵子』という詩が詩碑の裏側に光太郎のペン字そのままに彫られています。千鳥と戯れる無邪気な智恵子を、防風林のなかから見つめる光太郎。

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人間商売さらりとやめて、
もう天然の向うへ行つてしまつた智恵子の
うしろ姿がぽつんと見える。
二丁も離れた防風林の夕日の中で
松の花粉をあびながら私はいつでも立ち尽くす

詩碑は防風林に囲まれたなかにひっそりと隠れるようにありました。詩人の草野心平が建立したときは、詩碑のところから砂浜が一望できたそうです。ちょうど千鳥と遊ぶ智恵子を眺める光太郎の立ち位置です。現在では有料道路に阻まれて砂浜を見ることはできません。砂浜に散歩に来たカップルも近くに車を駐めて着替えているサーファーたちもこの詩碑の存在に気づいていないかもしれません。波の音だけが聞こえる、寂しく静かなところに詩碑は建っています。

私にとっては清水の三保の黒砂が馴染みですが、九十九里の海もいい。穏やかな優しい海です。海を見るとほっとします。空気が心にたまった澱(おり)を洗い流してくれます。

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(寄り道 その1)
帰るさ「菅原伝統硝子Sghr」に寄りました。日本ペイントの道を隔てた反対側、自動車教習所の隣にあります。蕎麦屋の横の細い道を入ったところです。
ショップには手作りのガラス器がたくさんあります。妻は職場の同僚へのお餞別に、小さな可愛い花瓶を買いました。カフェも併設されています。予約すれば工場での体験も可能。

↓ 奥が工場。左手の建物がショップです。

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(寄り道 その2)
Garden Cafe Doppietaでランチ。
東金の季美の森にあります。

重い扉を開けると、室内にはピアノや小さなステージがあり、天井も高くてまるでコンサートホールのよう。奥のガラス扉の向こうには広いテラスもあります。暖かくなったら、外でお茶するのもいいかも。

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トイレはガラス扉を開けて、テラスを左へ行くとあります。扉の開け方にはみんな手こずっていました(笑)

野菜をいかに美味しく食べるかを追求した店という感じ。私はアヒージョをいただきました。海老や野菜を食べたあとで、残ったオイルを使ってパスタにしてくれます。これが実に美味。フォカッチャを少し残しておけば、最後に残ったオイルをつけて食べられたのにと後悔しました。お薦めです。パスタはポーチドエッグを落としたライスにも変更できます。

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山田組文藝誌第3号(冬号)完成! [その他]

山田組文藝誌第3号(冬号)が完成しました!

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目次

一  野性になれない僕たちは。 まめたろう
二 #サンタを許すな      おがしん
三 進捗、どうですか      千秋明帆
四 はつゆき          三角重雄
五 天使            高平 九

 「春が来ない人への、ワンポイントアドバイス」 不登校専門コーチ はらちゃん

印刷はまだですが、ブログ上には公開されていますで、お読みになりたい方はこちら↓をクリックしてください。

https://novela.at.webry.info/

表紙はいつも高校生絵本作家のまめたろう君。そして今回はまめたろう君の友人おがしん君も参加してくれました。おがしん君も高校生で、いつもはドラマ(映像)を作っている人です。

高校生もお姉さんも小父さんも同人誌上では対等です。それぞれの思いを込めた個性きらめく作品をぜひお読みください。

ざっと読むだけなら、おそらく5分ほどで読み切ってしまうような小品ばかりです。すぺて読んでも30分かからないでしょう。

それにしても無事3号が発行できてほっとしています。というのも私が今まで関わった2つの同人誌はいずれも3号が幻で終わっているからです。

最初の「PORTO」は大学生が2名社会人3名で始めました。まだワープロなどなくて原稿用紙に作品を書き、小さな出版社で印刷製本をしてもらいました。毎号10万円程度かかったと思います。私は長編小説を連載していたのですが結局3号を見ずに消えてしまいました。

2つめの「SKY」は同僚3名が同人でした。これは印刷したものをホッチキスでとめただけの気楽なもので、読者も同じ職場の人達でした。やはり3号は作れませんでした。

ですから、今回3号の発行にこぎつけたことがとても嬉しいです。なんとかこれで幻の3号というジンクスを払拭できました。しっかり原稿を出してくれた同人のみんなに感謝します。
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止まらない膝の痛み [その他]

前回、咳が止まらない話を書きましたけど、実はその前から膝の痛みに悩まされています。9月の末に痛みはじめ、最初のうちは我慢していたのですが、そのうち歩行も困難になり、さすがに近所の総合病院にある整形外科を受診しました。若い医師はレントゲンを見て「靭帯が炎症を起こしてますね」と言い、注射をして炎症を抑える薬と胃腸薬、それに湿布を処方してくれました。しばらくして痛みは引いたのですが、12月の公演後にしだい痛みがひどくなって薬も効かなくなりました。その間、2回同じ病院で診察を受けましたけど、「そんなにひどくないはずなんだけど、加齢もありますからねえ」と同じ薬を処方されました。

先週、薬が切れたのですがまた歩行が困難なほど痛むようになり、またかなり腫れてきたので劇団の代表に紹介された整形外科の専門医院に行くことにしました。
平日の受付開始時間に行ったのですが、すでに広い待合室は6割ほど埋まっていました。レントゲンを診た医師からMRIを撮るように勧められ、たまたま空いていたのでその日のうちに撮影しました。結果、半月板が切れていることがわかりました。ただ、縫うほどではないそうです。

2階のリハビリセンターで電気を当ててもらい、理学療法士さんから説明を受けました。なるべく外歩きを控えるように。できれば杖も使った方がいいということでした。毎日の体操も指示されました。膝の下に丸めたタオルを置き、それを押し潰すように膝を伸ばします。伸ばしたまま5秒止めて緩める。これを1日50回。リハビリも週に2、3回やった方がいいそうです。

最後に1階の処置室で水を抜いてもらい、ヒアルロン酸注射をしました。先生が「2本も取れましたよ」と注射器を見せてくれました。とにかく痛かった。

薬は前の病院ものとほぼ同じです。痛みはまだありますけど、少しやわらいだ気がします。

つまらない話ですいません。でも急に膝が痛くなった方の、少しでも参考になればと思います。とにかく評判のいい専門医を受診しましょう。

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止まらない咳 [その他]

暮れに咳が止まらなくなった。特に夜にひどくて吠えるような咳が続いた。近くの呼吸器内科で咳喘息と診断された。2年前と同じだ。飲み薬と吸入型の薬を処方され、しばらくして夜中の咳は治まった。しかし、2週間して薬が切れると再発。
今日、同じ呼吸器内科に行くと「咳を止めるには2種類の薬があって、どうも前回のはあまり効いていないので、もう1つの薬を使いましょう」と言われた。とてもいい先生で詳しい説明をしてくれるのだが、私には半分くらいしか内容が出来ない。もう1つだけ理解できたのは1月中旬あたりから杉花粉が始まるという話。今の薬を飲んでいるうちに、花粉のアレルギーの症状に移行するかもしれない。そうしたら抗ヒスタミン剤に変えましょうとのこと。いったいいつになったら私の咳は止まるのか?

教訓 とにかく専門医に診てもらうこと。咳が出たら呼吸器内科へ。

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山田組小芝居祭公演御礼 [その他]

第4回小芝居祭公演無事終了しました。
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小芝居祭の2日目は市立稲毛のエイサーで幕を開けました。清らかできりりと美しく、お正月にふさわしい舞でした。初日と同様にそれぞれの学校が実に個性豊か芝居を見せてくれました。若さ弾ける見事なパフォーマンスばかりでした。
最後に山田組も拙作『俺らってやっぱ天使じゃねえ』を披露しました。たった3日間の稽古しか出来ませんでしたが、顧問とOGOBがそれぞれの持ち味を出しながらも、何年も一緒にやっているような息の合った芝居をしてくれました。もちろん台詞も完璧でした。演出としては、どんどん進化する芝居にブレーキをかけることだけを心がけました。こんな楽な演出はありません(笑)
また来年も、いや夏もよろしくお願いします。

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↑ 会場の近くから富士山が見えました。みんなで撮影しながら打ち上げ会場に移動。

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明日の小芝居祭 [その他]

小芝居祭1日目楽しく終了しました。
45分という限られた持ち時間の中、短いけどちゃんとした一本の芝居を観せる学校もあれば、小芝居3本立てなんて学校もありました。ひたすらショートコントやものまね一発芸を披露するところもあるなど、とにかくどこの学校も自由に舞台表現を楽しんでいました。明日がまた楽しみです。

5時からは山田組のリハーサルでした。昨年末の稽古より、さらに楽しい芝居になってきました。明日、顧問とOBによる一回限りの上演です。お楽しみに。

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1月5日(日)11時15分開場  5 11:30~12:00 稲 毛
 6 12:00~12:45 犢 橋
 7 12:45~13:30 千葉経済
    もぐもぐたいむ
 8 13:45~14:15 市立千葉
 9 14:15~15:00 市立千葉OB
10 15:00~15:45 幕 総
11 15:45~16:30 山田組 会場は千葉市南部青少年センターホールです。 JR蘇我駅から徒歩15分。 JR千葉駅からバスもあります。 ※注意事項 ○日程の都合上、十分な昼食時間を取ることができません。 「もぐもぐたいむ」におやつを食べるなど各人で対応お願いします。 ○ホール内は飲食禁止ですので、ホール外のホワイエをご利用ください。 ○ホワイエでは静粛にお願いします。 ○ホールの客席数は204です。演劇部の交流が主な目的ですので、 参加校の高校生を優先とさせていただきます。立ち見は消防法によりできませんので、満席の場合には入場をお断りすることもございます。
ご了承ください。

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笑門来復 [その他]

あけましておめでとうございます。

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今年は正月から1月5日『俺らってやっぱ天使じゃねえ』(作・演出高平九)の山田組公演があります。私も少しだけ出演します。会場は南部青少年センター。開演は3時45分~。第4回小芝居祭(千葉市内の高校演劇部の交流会)は4日からやっていますので、そちらもよろしくお願いします。

小芝居祭の詳細はブログ内「第4回冬の小芝居祭 日程決定!」をご覧ください。

6月28日には千葉市民創作ミュージカル『千年天女』公演があります。私の原作がミュージカルになるなんてすごい!あんまり嬉しくて私も出演予定です。演出は小笠原響先生。その他プロの先生方が歌やダンスを指導してくださいます。キャストのみんなのステキな楽しい人ばかり。会場は千葉市民会館。詳細はまだ決まっていません。こちらもよろしくお願いします。

12月6日は私の所属する「四街道市民劇団 座・劇列車」の30周年公演です。演目等はまだ未定ですが、いつも以上に多くの人に参加していただいてお祭りになればいいなと思っています。これを機会にお芝居を楽しみましょう。


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忘年会楽しかったあ。 [その他]

ほとんど若い女子ばかりの忘年会!
男子はヒロム君と私だけ。
色んな話が聞けて楽しかった。今年もやろうね。
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山田組文藝誌第3号表紙ステキ! [その他]

高校生絵本作家まめたろう君が山田組文藝誌第3号の表紙を作ってくれました。あんまり素晴らしいので先に皆さんに紹介します。これは単なる表紙ではなくひとつの作品ですね。

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来年の干支に合わせてネズミが描かれています。ネズミは都会のどん底から、少し怯えながら何かを叫んでいるよう。ビルたちがその叫びに耳を傾けています。狭い空の中にあるのは太陽、ネズミを挟んだ対角線上にアスファルトに映る月と星。宇宙の真ん中でネズミは何を叫んでいるんでしょう。

おそらく、ネズミは文藝誌の同人ですね。そして、その叫びこそ私どもの作品というわけです。うーむ。困ったぞ。この表紙に負けない作品を書けるかしらん。次号の締め切りは年内。まだ書けていないから、3日まで待ってもらったけど、すごいプレッシャーだ。とにかく頑張ります。

まめたろう君の新作『ステキドロボー』。読んでない方はぜひ御一読を。これを読んで何も感じない方は、かなり重い大人病にかかっています。今すぐに陽水の『少年時代』を大声で歌うか、遊園地のメリーゴーランドに乗るかしてください。では、皆さん。良いお年をお迎えください。

↓ ここで読めますよ。


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『天国までの百マイル』雑感 [その他]

12月1日の公演からもうすぐ1ヶ月が経とうとしています。劇団のブログに公演の写真やお客様からの感想などをまとめながら、自分がどうもまだ『天国までの百マイル』の呪縛から脱けていないような気持ちがしています。そこで少し公演への思いをまとめておこうと思います。

公演当日の打ち上げの際に演出の長野克弘さんから「縁」についてお話がありました。
長野さんと我々の劇団との縁は、代表の入村が長野さんが演出するお芝居を観に行ったことからはじまりました。そのときにつないだ縁は一昨年『カリホルニアホテル』の演出をお願いするという形でさらに太い縁になりました。そして今年の公演へとつながっています。

演出家としても人間としても魅力的な長野さんとこのような縁を持てたことは、私たち劇団員にとっても大きな財産になりました。役者としても少しは成長できたように感じています。

観客の皆さんの多くは毎年劇列車の公演を楽しみにしてくださっている常連の方です。私どもの公演はどんなに準備しても失敗があります。役者が台詞を忘れて立ち往生したり、舞台装置がうまく作動しなかったり、転換がスムーズに行かなかったり、挙げたらきりがありません。それに芝居自体が不評である場合もあります。毎年吟味して上演作品を選んでもお客様の心に届かない芝居もあります。ですが、お客様はどんな失敗があっても、たとえ芝居が面白くなくても、辛抱強く私たちを見守り励ましてくださいます。初めて劇列車の芝居を観た私の友人たちが口を揃えて言うのは「お客さんが温かいね」という感想です。失敗しても、嘲笑するのではなく温かな笑いを返してくれます。面白くなくても客出しのときに励ましてくださいます。こんなお客様たちとの縁こそ劇団のいちばんの財産だと改めて感じています。もちろん、それに甘えてはいけませんが(笑)

もう一つの縁はきわめて私の個人的なものです。
私が劇団に入って15年になります。当時同僚だった入村さんに、前年の『ゴジラ』(大橋泰彦)の客演を頼まれたのが縁でした。正直、忙しい仕事と演劇の両立には自信がありませんでした。無論、役者としての自信など少しもありません。ただ劇列車の団員のみんなと別れるのがなんとなく惜しくて入団しました。これも縁ですね。
当時、妻からは毎年のように「いつやめるの?」と尋ねられていました。もともと身体があまり丈夫ではない私が無理をしていることを心配してくれたのだと思います。

入団2年目に『父が帰る家』(木庭久美子)という作品を上演しました。数十年前に家を出た父親が病気になって家に帰るという物語です。これは私の父親と重なる話でした。どうしても観せたくて初めて両親を公演に招待しました。その後すぐに父親は認知症になり他界しました。

ところが、亡くしてからあれほど嫌っていた父親を赦せるようになりました。嫌いだと感じたことよりも父親とのちょっとしたふれあいやその言葉が心に色濃く蘇るようになりました。自身の子ども達が大きくなり父親としてもひとりの男としても価値を問われていたからかもしれません。自分が男として父親としてどうなのかと考えたとき、どうしても父親のすべてを否定することはできないのです。

そのことを自作『カリホルニアホテル』の主人公の父親に投影しました。どうしようもないダメ男だけど、何かしら哲学を持っていて誰からも愛される男。そして、偶然ですが私がその役を演じることになりました。難しい役でした。演じてみてはじめて父親の魅力に気付かされたような気がします。

『カリホルニアホテル』の前年には自作『クロスロード~運命をつなく四つ辻』を上演しました。お世話になった西田了先生から「四街道を舞台にした作品を書きなさい」と再三言われて、やっと出来た作品でした。西田先生の言葉がなければ、この作品は生まれていなかったと思います。『クロスロード』は、四街道の十字路でつながった人と人の縁の話です。西田先生との縁によって生まれた物語でした。公演当日の打ち上げの後、タクシーに乗る西田先生を見送りました。そのときに先生が「いつも傑作という訳にはいかないよ。それは覚えておきなさい」と言ってくださいました。そのときは気付きませんでしたが、暗に「クロスロード」を褒めてくださったのだと思います。そしてこれから脚本を書く私への励ましの言葉でもありました。残念ながら、このあと西田先生に公演を観ていただくことは叶いませんでした。お墓参りの際に奥様から「主人は亡くなる直前まで四街道を舞台とした作品を書くための資料を集めていたんですよ」というお話をうかがい、先生の劇作家としての執念を感じました。

母親は終戦当時14歳の女学生でした。都庁に勤めていた祖父だけを東京に残して一家は秋田の親戚のもとに疎開していました。退屈な疎開生活に飽き飽きした母は単身東京に戻ったそうです。そして、3月の東京大空襲に遭遇しました。母が語った話に出てくるB29のぶるんぶるんという音、焼夷弾のひゅーひゅーという落下音は今も私の心に深く刻まれています。私の中に根付いている母の話と千葉市空襲の多くの証言をもとに書いたのが「クロスロード」の2場です。そして来年6月に上演する千葉市民創作ミュージカル「千年天女」の2場もまた同じものを元に書きました。母の記憶がなければ、私はおそらく「クロスロード」も「千年天女」も書いていなかったと思います。そういう意味では千葉市民創作ミュージカルの仲間と遭えたのも母親がつないでくれた縁なのかもしれません。

そして、今年の公演『天国までの百マイル』とも不思議な縁がありました。

前半、主人公安男の母親きぬ江が入院している病院は三鷹にある大学病院がモデルです。実はこの病院で私の母も乳がんと肺がんの手術を受けました。さらに私と安男の年齢は全く同じでした。おそらく私の母親ときぬ江もほぼ同年代だと思います。
母親は昨年の秋に立川の病院で亡くなりました。主治医である女医から病状を聞いたとき、私はすぐに諦めてしまいました。30代で重い胃潰瘍の手術を受け、食の細い母はがりがりに痩せていました。父親の経営する会社が倒産してからは、居酒屋と麻雀荘をきりもりしていて睡眠時間もほとんど取れないような生活が続いていました。そんな母が長生きできるはずはない。87歳まで生きたのが奇蹟だと勝手に思っていました。
ですから、安男の奮闘を自分で演じながら、もっと母親のために出来たのではないかという自責の念に苛まれました。もちろん作品のテーマはダメ男である安男の再生にありますから、安男がしたことは必ずしも正解ではありません。命を懸けて息子のギャンブルに付き合ったきぬ江の母性、そして安男を無償の愛で支えたマリの母性、これらの母性にこそ焦点が当てられるべきです。でも、やはり安男になり切れなかった自分が悔しくてなりませんでした。

人は様々な縁によってつながっています。
昨日まで全く他人だった同士が、恋愛したり友達になったり仲間になったりします。親子兄弟のように切っても切れない縁もあれば、男女のようにあっけなく切れてしまう縁もある。人同士だけでなく地域、物との縁だってあります。もちろん作品との縁もあります。

世阿弥は能の作品を「花」に喩えました。長く苦しい旅路を経て峠にたどりついた旅人がふと、野辺に咲いている花に目を止めて憩う。そしてまた長い旅に発って行く。人の縁もまた長く苦しい人生の旅路でふと袖すり合うときに生まれるものだと思います。それは全くの偶然かもしれませんが、その偶然を縁ととらえて大切にしたいものです。

『天国までの百マイル』との縁は、母親のことも含めて長く私の心にとどまりそうです。なるべく早く『千年天女』や座・劇列車の次回作に集中したいのですが(笑)公演雑感
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