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九の近況(7) [その他]

ウクライナの悲劇が伝えられるたびに胸が痛くなります。人の国を侵略するなどという暴挙はけして許してはなりません。戦争は外交の敗北であり理性の敗北です。力の強いものが好き勝手をできるような社会にしてはいけません。それは家庭の中でも、教室でも、職場でも同じです。一日も早くウクライナに平和が戻りますように。

以下、3月の近況を綴りました。例によってとても長いので、興味のあるところだけ拾い読みしてください。半分は私の備忘録です。

小説
3月に『戸川半兵衛の黒はんべ』「第25回伊豆文学賞」の佳作をいただきました。選んでいただきありがとうございました。1年以上落選ばかりでしたので少しほっとしました。この話は小学校中学校の同級生秋山くんの御先祖について書きました。ご先祖である清水の網元秋山仁左衛門という人が駿府城の賄頭半兵衛に依頼されて黒はんぺんを考案したというのです。秋山君の話では隠居していた徳川家康が大漁の鰯を廃棄する話を聞いて、新しい食べ方を考えるように半兵衛に命じたそうです。私は家康を孫の松平忠長に変えて創作しました。このように同級生の御先祖の話を題材にした物語でしたので入賞は特に嬉しかったです。作品は「第25回伊豆文学賞優秀作品集」に掲載されていますので、機会がありましたら読んでみてください。最優秀賞の『海豚』(髙部務さん)をはじめ他の掲載作品も素晴らしいものばかりです。それからまだ召し上がったことのない方はぜひ一度黒はんぺんを食べてみてください。おでんに入れても、フライにしても、ちょっと炙って生姜醤油につけて食べても美味しいですよ。私が子供のころはおやつ代わりに生のままかじっていました。

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3月初旬から中旬にかけて一次、二次選考のあった「第65回千葉文学賞」は一次選考も通りませんでした。この作品も知り合いの方のご先祖について書きました。力量不足を痛感しています。知り合いの方にも申し訳ないことをしました。いつかリベンジします。

「第3回京都文学賞」に応募した作品は一次選考を通って218作品中32作品に選ばれましたが、残念ながら二次選考6作品には入れませんでした。
先日、選評が郵送されて来ました。一次選考通過作品の作者全員に送っているようです。とても親切な文学賞です。ありがとうございます。
一次の書評家の方の選評と、二次選考で読んでくださった読者選考委員の意見がありました。読んでいただきありがとうございました。読者選考委員は「よかったところ」と「改善した方が良いと感じたところ」について意見を寄せてくれています。全部でA4用紙に3枚。厳しい意見が多くて落ち込みましたが、もっといい作品を書くためにしっかり受け止めようと思います。読者選考委員の皆さん、ご意見ありがとうございました。選評の一部は「京都文学賞」のサイトでお読みいただけます。

このほか、現在選考結果待ちの作品が4本あります。

詩誌「ココア共和国」への投稿を続けています。3年目になります。
今月発行された4月号では三賞の発表がありました。二十歳未満の詩人が対象のYS賞は菅沼きゅうりさん秋吉久美子賞は森崎葵さんいがらしみきお賞は伊藤テルさんがそれぞれ受賞なさいました。皆さんおめでとうございます。
嬉しかったのは秋吉久美子賞の最終候補3人の中に選んでいただいたことです。私たち世代には憧れのマドンナ秋吉久美子様から「高平九の詩が好ましい」というお言葉もいただき舞い上がっています。しばらく地上に降りられないかもしれません(笑)

「ココア共和国」は投稿詩を中心にした詩誌です。様々な世代の詩人たちが毎月渾身の詩を寄せています。アマチュアとはいえ、どの詩も個性的で感受性豊かな作品ばかりです。まさに「今」そのもののリアルでヒリヒリとした心と言葉がしのぎを削っています。ぜひ一度読んでみてください。そして、もしも言葉が溢れてきたら投稿してみてください。発行責任者の秋亜綺羅さんも、編集の佐々木貴子さんも親切に対応してくださいます。投稿は「ココア共和国」サイトからできます。一行の文字数、全体の行数に制限がありますのでテンプレートを事前に御確認ください。



紙版は傑作集、電子版は傑作集と佳作集が掲載されています。

詩誌「ココア共和国」は同名のサイトまたは各書籍購入サイトからお求めいただけます。

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戯曲
12月4日に上演予定の座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』の台本第2稿を書きました。

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この作品の構想は『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』を書き上げたときからありました。四街道には名前の由来とも言われる四街道十字路があります。四つの道は千葉、船橋、東金、成田にそれぞれ至りますが、いずれも本街道ではありません。辻にはエノキの大木と井戸があり、旅人はエノキの葉陰で足を休め、井戸の水でノドを潤したそうです。『クロスロード』はこのエノキの精霊のような老婆ときが主人公です。幕末の日米修好通商条約締結前夜、七夕に千葉を襲った空襲の夜、現代の3つの時代、ここで出会った人々のドラマにときは立ち会います。

今回の『クロスロード2』にも、ときは登場します。四街道にはかつて佐倉藩の火業所(砲術練習場)がありました。日米修好通商条約を締結に奔走した大老堀田正睦は佐倉藩主で、「蘭癖(らんぺき)」と陰口を言われるほど蘭学に傾倒していました。有名な順天堂を設立したのも、家臣に西洋の砲術を学ばせて火業所を作ったのもその正睦です。

明治政府は佐倉藩の火業所を陸軍の砲兵訓練に使用するため拡張整備しました。この指導に当たったのが、来日していたフランス陸軍砲兵大尉ジョルジュ=ルボンでした。大砲の射垜(しゃだ・目標)だった小山(大土手山)を地元の人々がルボン山と呼ぶのはこのためです。

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このルボン山の傍らに野戦砲兵学校がありました。元々は野戦砲(車輪のついた大砲)を扱う下士官の養成所でしたが、戦争末期には15歳から17歳の少年兵を全国から募って訓練しました。そして1期生と2期生の一部は戦場に送られました。特に2期生の先発隊70名はたったの11カ月の訓練で激戦地フィリピンに送られ、途中敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて41名が戦死しています。また生き残った29名も皆激戦地で戦い、生還できたのはたったの8名でした。

『クロスロード2』の主人公は2期生の幸平です。幸平は『クロスロード』の2場に登場した女医久子の弟です。幸平はルボン山でときからオカリナをもらいました。そしてこのオカリナの不思議な力で現代にタイムワープします。そこで幸平は90歳になった野戦砲兵学校の同期生田村に会います。

この作品を書こうと思ったのは、戦争体験者が少なくなったこともあってか、SNSに日本も本格的な軍備を持つべきだという書き込みが目立って来たからでした。今一度、戦争について真剣に考えるときではないかと思ったのです。ですが、予期せぬロシアのウクライナ侵攻で戦争がとても身近なものになってしまいました。この状況の中で戦争の作品を上演していいのか、私の中に迷いが生じました。しかし団員たちの多くはこの時期だからこそ上演すべきだと励ましてくれました。

この作品を観ることで、戦争というもの、そして日本と世界の未来についてじっくり考えるきっかけにしてほしいと思います。

舞台
3月12日にMMTパントマイムの『色即是空』に出演させていただきました。「かながわ演劇博覧会」参加作品です。

『色即是空』はかつてエジンバラ、アビニョンの演劇祭で演じられ絶賛された演目です。私にとっては憧れの作品でした。ですからこの作品に出演できるのは夢のようなお話でした。

2月に連絡をいただき、2回の稽古とリハーサル、本番という付け焼き刃の舞台でしたが、初めてやまさわたけみつ先生から殺陣を指導していただき感激でした。10年間パントマイムを指導していただいたのに、殺陣は教えていただいてなかったのです。子供の頃からチャンバラ少年であり時代劇大好きな私にとって、この歳で殺陣に挑戦できるなんてこれまた夢のようでした。

結局、着物の帯も結べず、袴も自分1人では履けないという情けない侍でしたけど、何とか必死に演じました。ご指導いただいたやまさわたけみつ先生、お誘いいただいた藤井さん、殺陣や帯の結び方など細かく面倒見てくださった金井さん、一緒に殺陣を頑張ってくださった木下さん、そして「おてもやん」を親切に指導してくださった名取さん、その他のMMTパントマイムの皆さん、親切にしていただき本当にありがとうございました。またぜひご一緒させてください。

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同人誌「山田組文芸部」
同人5名、準同人1名の同人誌です。すでに6号まで発行しています。これまで私の関わった同人誌はいずれも3号発行に至らなかったので、最長記録を更新中。

6号から編集長が豆太郎くんになりました。彼は高校生のときに『ろぼっとはーと』で絵本作家としてデビューした将来有望な逸材です。6号からは表紙だけでなくすべてのデザインがおしゃれになりました。内容だけでなくデザインもお楽しみに。最新号(6号)はこちら ↓


http://note.com/yamadagumi/

27日に久しぶりに会合を開きました。とても楽しい時間を過ごすことができました。

第7号のテーマは「映画」に決まりました。

今回も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。皆さんにとって素晴らしい春になりますように。

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