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九の近況(9) [その他]

6月23日は沖縄の慰霊の日でした。77年前の3月末から続いた沖縄戦が一応終わった日です。「一応」というのは、首里にいた牛島司令官の自決によって組織的な戦闘は終わりましたが、実はこの後の方が民間人の犠牲は多かったからです。解散となったひめゆり学徒の多くも自決したり崖から身を投げたりして亡くなりました。手榴弾をみんなで囲んで自爆したり、親兄弟で殺し合ったりという話もあります。アメリカ軍に捕まると女性は乱暴されて殺される。男は拷問された後で八つ裂きにされる。そんな噂がまことしやかに伝わっていたからです。中国大陸で戦った日本兵が自分たちが中国人に対してやったと同じようなことをされるとデマを広げたと言われています。ハワイから帰って来た人が「アメリカ人はそんなことはしない」と住民を説得して全員が助かったシムクガマの例があります。逆にそのすぐ近くにあったチビチリガマでは噂を信じた全員が自決しています。

「ガマ」というのは鍾乳洞のことです。沖縄には鍾乳洞がたくさんあり、沖縄戦では民間人がたくさん避難していました。そこに日本兵がやって来て住民を危険な壕の近くに配置したり、壕から追い払ったりしたそうです。

戦争は人を狂わせます。勝者も敗者もありません。加害者も被害者もありません。戦争を始めてはいけません。戦争を始めさせてはいけません。国家間の問題を戦争で解決しようとしてはいけません。話し合いという尊い手段を投げ出してはいけません。人間はもっと賢いはずです。

日本兵と沖縄の住民だけでなく、アメリカ兵も1万人以上が戦死しています。国籍に関係なく沖縄戦で命を落としたすべての方のご冥福を祈ります。

↓ 伊江島のビーチで拾った火薬。米軍が海に捨てた不発弾の火薬が今もビーチに流れ着くそうです。ライターで火を点けると勢いよく燃えます。

伊江島火薬 (1).JPG

小説

集英社ノベル大賞は2作とも二次選考を通過できませんでした。なかなか厳しいです。来年また頑張ります。
5月、6月は多くの文学賞の締め切りがありましたが、1作も応募することができませんでした。神奈川文芸賞(神奈川新聞社)にも応募できませんでした。4月からの不調がまだ続いています。別に焦ってはいませんが、今更ながら毎日きちんと書けない自分が情けない。言い訳ばかりが浮かんできます。それもまた情けない。

7月は講談社の第17回小説現代長編小説賞の締め切りです。ジャンルを問わず、400字詰め原稿用紙250~500枚の長編小説が対象の文学賞です。昨年はホラー小説で見事に一次落選でした。何とか書いて応募したいと思っています。



詩誌「ココア共和国」6月号傑作集に『やさしい公園』を載せていただきました。女優の秋吉久美子さんから「いいね!」をいただきました。近所の公園で実際に見た光景から世界の平和を祈って書いた詩です。私には何もできませんが祈ることだけはできます。たくさんの人が祈ればきっと何かが変わると信じています。
同じく7月号傑作集には『うちにはねシタイがあるんだよ』が載るようです。編集を担当している詩人の佐々木貴子さんは「平板な日常と思われるその隙間に密かに穿たれ、生い茂る綻び」と拙作に見事な批評をくださいました。なるほどそういうことなのかと教えられました。6月号と同じ公園を舞台としていますが、まったく異なる世界を描いています。秋吉久美子さんから「こりゃいいね!」もいただきました。よろしければ読んでみてください。

7月号のゲスト詩人は松下育男さんです。松下さんを知ったのは茨木のり子さんの『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)でした。『顔』という詩が紹介されていました。胸を錐で刺されたような衝撃を受けました。松下さんの詩は私の心に深く染みて、それまでとはまったく異なる詩が生まれてきました。私の詩をガラリと変えてしまう出遭いでした。40年以上経った今もその影響は続いています。今号の『水を飼う』にも感銘を受けました。切ない恋歌だと思います。最も尊敬する詩人です。

「ココア共和国」には、紙版(税込770円)、電子版(税込275円)があります。
紙版には傑作集、電子版には傑作集と佳作集が掲載されています。
購入、応募はこちらで↓

詩誌「ココア共和国」ホームページ
https://www.youyour.me/

資生堂 花椿「詩を探しています」にも昨年に続きまた2作応募してみました。昨年完全な空振りに終わったので応募する気はなかったのですが、なんとなくそれらしい詩が生まれてきたので応募しました。そう言えば昨年もそんな感じでした。

6月末日が締め切りの「神奈川文芸賞」の詩部門にも応募しました。1編は神奈川に関連した内容のもの、もう1編は自由テーマです。小説は書き切れなかったので何とか詩だけでもと投稿しました。神奈川県には色んな思い出があるのに、いざ書こうとすると詩にならない。それでもなんとかひねり出しました。

戯曲・演劇

四街道市民劇団「座・劇列車」『オカリナの少年~クロスロード2』(作:高平九)の演出を担当しています。まだ半立ち稽古(台本を持っての立ち稽古)の段階ですか、キャストのみんなが集中して稽古に臨んでくれるので、次第に形になってきました。

これまで、千葉県文化小ホールで『白雨5人男女?』(作:高平九)、四街道公民館で『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』(作:高平九)の演出をしましたが、本公演の演出は今回が初めてです。

これまで拙作『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』『人情喜劇カリホルニアホテル』を本公演の演目として選んでもらいました。いずれも演出は他の方にお願いしました。自分で書いたものを自分で演出するよりも他の人に演出をしてもらったほうが、世界が広がると考えたからです。実際、演出それぞれの解釈や工夫が作品世界を広げてくれたと思います。

今回、演出を引きうけたのは、内容が戦争を扱っていたこともあり観てくださる方の反応が予想できないからです。もしかすると反発もあるかもしれない。となると他の人に責任の一部を担ってもらうのは申し訳ありません。今回の作品については自分で全責任を負うつもりで演出を引き受けました。成功は役者の手柄、失敗は作者と演出の責任とさせていただこうと思います。

なんか格好よく書いてしまいましたが、要は実に個人的な思いの詰まった作品ということです。毎回、キャストのみんなにも私の思いを知ってもらおうと色々な話をさせてもらっています。東京空襲を経験した母の体験、朝鮮半島から引き揚げてきた父の家族の話、沖縄のいくつかのガマや伊江島などを訪れて見聞きしたことなどです。上演台本を仕上げる前には、キャストのみんなからもそれぞれの思う戦争について話してもらい、少なからず台本にその思いを盛り込んだつもりです。

もちろん、こちらで戦争について黒か白からを押しつけるつもりはありません。この芝居を観た人に戦争について考えてもらいたい。この四街道という土地で実際にあったことを知ってもらい、その時代とつながりを持ってもらいたいということです。

以前上演した「クロスロード~運命をつなぐ四つ辻」もそうですが、過去の出来事を単なる歴史ととらえるのではなくて、自分たちと同じ人間が生きていた現実のように感じてもらいたいのです。現代という四つ辻から過去から未来へとつながった道を眺めてもらいたいのです。風に乗った人々の生の声を聞いてもらいたいのです。よりよい未来へ向かうために。

「第22回AAF戯曲賞」(愛知県芸術劇場主催)募集の案内が送られてきました。締め切りは7月末。以前『カリホルニアホテル 春』で応募しました。今回はどうしようかな。この賞はすでに上演した作品でも応募することができます。

「第22回AAF戯曲賞」詳細はこちら↓
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000607.html

10月7日~9日に予定されている「四街道公民館まつり」に参加をすることにしました。日頃公民館を利用している団体の発表会です。座・劇列車は例年通りだとすると9日(日)2時~の上演になると思います。正式には8月末の会議で決まるそうです。

すでに演目も決定し上演許可を取って稽古を始めていますが、8月末の会議で正式に実施が決まってから演目を発表させていただきます。30分強の小品ですが面白い芝居です。公民館との打ち合わせによって席数などの決まってきますので、しばらくお待ちください。コロナが収まって無事上演できることを願っています。

観劇(予定)

7月にパントマイムの師やまさわたけみつ先生がパパイヤ鈴木さんの公演に出演します。
また8月には先生の講演もあります。楽しみです。

今回も長くなりました。大した内容でもないのに最後までお付き合いいただきありがとうございました。本当に毎日暑いですね。熱中症にもコロナに感染もせずお互い健やかに夏を乗り切りましょう。 高平 九
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