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九の近況(14)~2024年1~4月 [近況]

 2024年1月から4月中旬までの高平九の近況です。

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 昨年末はコロナ感染、半月板損傷、大腸ポリープ手術のための入院(なんと病理検査した結果大腸ガンでした)とお騒がせしました。半月板は半年経った今も万全ではありませんが、リハビリをサボりがちながらも続けています。まだ膝が十分に曲がらないころ浴槽に入ろうとして肩に痛みが走りました。しばらくは何ともなかったのですが横になると痛くて目を覚ますことが多くなりました。そのうち上腕や胸も痛むようになったので整形外科でレントゲンを撮ってもらったところ骨には異常はなく四十肩と診断されました。そして先日理学療法士からの提案でMRI検査もすることになりました。さてどんな診断が下されることか。本当にあちらこちら問題が発生しています。まだまだやりたいことがあるので、騙し騙しなんとか60代を乗り切りたいと思います。

 演劇 ※※※※※※※※※※※※※※※


 今年の活動は1月5日の山田組公演から始まりました。


 小芝居まつり「第5回山田組」公演

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 毎年正月と8月、高校演劇第8地区を中心に小芝居まつりという交流会が開催されています。作品も春秋の大会と比べると自由で楽しいものが多く、各高校から役者が出て一つの作品を作るコラボ企画などもある創造的な催しです。まつりの最後には部活の顧問、OB、現役部員などで山田組というユニットを組んで30分ほどの小品を上演するのが恒例になっています。  今年は私が書き下ろした『千葉駅零時九分発内房線最終電車殺人事件』という作品を上演しました。千葉駅を零時9分に発車する内房線最終電車の車内。急ブレーキ、停電。再び明かりが点くと通路に女性が一人倒れている。乗客の医師は女性はすでに死んでいると判断。容疑者は7名。たまたま乗り合わせた探偵が推理を始める。といった内容です。  私はもともとミステリー作家志望で、夢は江戸川乱歩賞を獲ることでした。でも論理的思考が致命的に苦手でトリックを解いて行くような本格推理小説は書けません。この作品もミステリー風ではありますが、最後は私らしくきちんと裏切っています(笑)  今回はいつものメンバーに加えて、高校演劇連盟の元会長Mさん、同地区の高校演劇部出身の顧問Mさん、OBの大学生カルテット、さらに現役の部員Fさんも参加してくれました。  稽古は年末に1回と正月4日、それに5日の午前中と3回だけでした。全部で10時間程度です。私は今回は退院したばかりで、また膝の具合もよくなかったので演出に専念しましたが、とにかくキャストの情熱と集中力が素晴らしく、またスタッフの献身的な協力もあって、予想以上にいい作品になったと思います。


 2月16日 四街道公民館長寿大学公演

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 四街道公民館が主催する長寿大学の修了式で公演をしました。演目は拙作『白雨五人男女?』です。久しぶりに犬の着ぐるみを着ました。御覧いただいた皆様ありがとうございました。


 2月18日 第3回SAMMU演劇祭公演

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 山武市成東文化会館のぎくプラザホールで『白雨五人男女?』を上演しました。御来場いただいた皆様ありがとうございました。

 昨年末から今年にかけて8名の新しい仲間を迎えました。演劇経験の差はありますが、それぞれ個性的で何より意欲的な人ばかり。総勢23名。稽古場に人がたくさんいるのは楽しいです。様々な声を束ねていい作品が生まれる予感がします。


 第34回本公演

 今年の本公演の演目は大西弘記さんの

『しゃぼん玉の欠片を眺めて』

 に決まりました。

 また、演出は俳優のさいとう たかしさんにお願いいたしました。

 どんな作品に仕上がるかとても楽しみです。

 12月8日(日)四街道市文化センターでお待ちしております。


 詩 ※※※※※※※※※※※※

「言葉に羽が生えると詩になる」武者小路実篤

 中学生の私は武者小路実篤の作品を愛読していました。『真理先生』、『馬鹿一』、『愛と死』などの小説世界に魅了されていました。地方の港町で少年期を過ごしていた私には周囲の大人たちの言葉がとてもがさつに感じられましたが、実篤の作品には聞いたことのない美しい言葉が溢れていました。
 馬鹿一と渾名される人物が特にお気に入りでした。石や植物の絵ばかり描いている変人です。私自身も絵を描いていたからかもしれませんが、周囲に理解されなくても自分の嗜好を純粋に貫く馬鹿一の姿勢に共感しました。実篤の小説に現れる人々も事象もすべてありふれたものです。それが実篤の言葉の魔法によって磨かれてとても新鮮なものに感じられるのです。
 子どものころ、従兄弟たちと山や川に冒険に出かけて石を拾って来ては水ヤスリ(耐水性の紙やすり)で磨いたことがあります。くすんだ色のただの石が深い色合いの美しい宝石に変身するのが楽しみでした。実篤の小説にはそれと似たような驚きがあります。
 たとえば実篤の小説の一場面に使われた「馬鹿」という言葉。この言葉は日常で使われると実に不愉快に感じます。でも砂浜で遊ぶ美しい少女が、自分の気持ちを察しない男友達に「馬鹿」と言うと、それは「こんなに好きなのにどうしてわからないの」という何とも美しい思いを秘めた言葉に変容するのです。
 実篤は詩も書いています。それほど特別なことを題材にしているわけではありません。でも、それらのありふれた内容と言葉がとても純粋で美しいものと感じられたのです。
 今の私もどうしたら言葉に羽が生えるのかに悩みながら詩作をしています。

 詩誌「ココア共和国」には1月号『ああバンパイヤ』、2月号『風吹ジュン』、3月号『うすうす』、4月号『小さなすれ違い』と珍しく4号続けて傑作集に載せてもらっています。前年から6号連続になります。もちろん傑作集に入るために詩作をしているわけではありません。それでもきちんと読んでもらえたこと、ある程度の評価をしてもらえたことは素直に嬉しく思います。毎月どんな詩が生まれてくるか自分にもわかりません。とにかく今のこの時代を全身で感じながら、ただのありふれた石ころを磨くしかありません。

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 4月号は3賞の発表がありました。YS賞は柊さん、秋吉久美子賞は木崎義夫、いがらしみきお賞はまちだちづるさんがそれぞれ受賞なさいました。皆さん個性的で魅力的な詩人です。今後のご活躍が楽しみです。おめでとうございます。
 今年も秋吉久美子賞の選評に名前を挙げていただきました。感謝しています。これを励みにしてまた1年詩作を続けて行こうと思います。
 従兄の勧めではじめた投稿ですが、もしも「ココア共和国」に出会わなければ私の詩作は私という穴の中で小さく響いていただけで終わったはずです。でも、この詩誌との出会いによって多くの人に詩を読んでいただくことができるようになりました。また様々な年代の詩を書く仲間とも出会えました。人生を変えた詩誌と言っても大袈裟ではないと思います。もしもこの文章を読んでくださっている方の中に人知れず詩を書いている方がいらしたらぜひ投稿をしてみてください。穴を這い出してもすぐに羽が生えるとは限りませんが、お日様に照らされているうちにあなたの言葉は鍛えられてやがて空に飛び立つかもしれません。

 2月には『凪組Anthology2024』が刊行されました。100人の詩人が今の言葉を綴っています。拙作『みどりいろのレシート』『猫と話せないのは猫のせいではない』の2編を掲載しています。
 4月には詩誌「凪」第5号が刊行されました。『歌』『ラーメンタマネギ』という詩を載せています。今号には「凪」のお仲間で秋吉久美子賞を受賞された滝本政博さんの詩集「エンプテイチェア」の書評も書かせていたたぎました。素晴らしい詩集です。この詩集の魅力を何とか伝えたいと思って書きました。詩集「エンプテイチェア」ぜひお読みください。

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 どの詩誌もそうですが、様々な世代の人々が詩でしか表現できないものがあると信じて、今この瞬間を切り取ろうと試みています。整った完成品がすべてではないと思います。未熟な言葉にの欠片にも「今のほんとう」が宿っていると信じます。


 小説 ※※※※※※※※※※※※


 3月は第19回ミステリーズ!新人賞第37回小説すばる新人賞第11回新潮ミステリー大賞第4回子母澤寛文学賞の4つの賞に応募しました。
 新作はありません。すべてこれまで書いたものを書き直しました。
 今月は「ちよだ文学賞」の締め切りもあったのですが最後まで書き切れませんでした。時代小説なので他の賞に応募しようと思っています。
 ここ数年ラノベの文学賞が増えました。息子は私にラノベを書けと言うのですが、ライトノベルの題材が1つも湧いてきません。冒険も幻想もSFも大好きなジャンルなのですがなかなか難しいです。
 応募フォームやメールで作品を送れる文学賞が増えました。ただこの3月に応募した賞は4つのうち3つが郵送のみでした。郵送の場合はレターパックのライトまたはプラスを使っています。これだとポストに入れることもできるのでとても便利です。今回はプラスでA4185枚を送りました。手書きや従来の郵送方法にこだわる方もいらっしゃると思いますが、私は何でも便利なものは積極的に使う主義です。今の時代を自分自身で泳ぐのか、あるいはただ流されてしまうのか。変わろうと思って変わるのか、仕方なく変えられてしまうのか。なるべく前者でありたいと思っています。
 ようやく新作を書けそうな気配があります。書きかけや構想はいくつかあるので今年は何とか形にしたいと思っています。


 今回も長文お付き合いいただきありがとうございました。
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