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九の近況(11)~私の2022年~(4)演劇 [その他]

脚本・演劇

今年は3回も舞台に立つことができました。

3月にはやまさわたけみつ先生の主宰するパントマイム集団MMTの『色即是空』に参加しました。「神奈川演劇祭」参加作品でした。フランスのアビニョン演劇祭でも好評を博した名作に参加させていただくことができ、稽古から本番まで最高の時間でした。馴れない殺陣の稽古ではとにかく足手まといにならないように必死で演じました。両足の爪が真っ黒になり筋肉痛に苦しみながらも楽しんでいました。やまさわ先生、藤井さん、キャストの皆さんに感謝しています。

10月には四街道公民館まつりの座・劇列車公演『村田さん』(鈴木聡 作)に出演し、演出も担当しました。30分強の短い作品ですが味わいのある名作です。

12月には座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出 高平九)がありました。3月から11月まで楽しく充実した稽古ができました。私の個人的な思いが詰まった作品でした。形にしてくれたキャスト、スタッフに感謝しています。集中して観てくださったお客様にもお礼を申し上げます。稽古から育てた熱が舞台をはみ出て会場全体に広がったような気持ちになりました。ありがとうございました。

来年は舞台の機会が増えそうです。

 2月26日(日)「SAMMU演劇祭」『村田さん』(作・鈴木聡)
 (山武市成東文化会館のぎくプラザ)演出・役者として参加します。


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 3月25日(土)・26日(日) 劇団ルネッサンス第160回公演『かくれんぼ』  (千葉市南部青少年センター)2部「雑エンタテインメント」に出演します。

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 8月27日(日)千葉市民創作ミュージカル『千年天女』  (千葉市民会館)原作を書きました。出演もします。プレ稽古は3月から始まります。  2023年はこの他に公民館まつりと第33回公演があります。忙しい年になりそうです。    すでに第33回公演の演目の選定が始まっています。昨年から1人が1作必ず推薦作品を提出することになりました。14作品が推薦されましたが様々な事情から8作品にしぼられました。来年はこの8作を読むことから始めます。なお、そのうちの2作は私ともう1人の団員が執筆中です。1月中旬までに書き上げてみんなに読んでもらい他の6作と競うことになっています。どうなることやら楽しみです。  今年も座・劇列車と高平九をよろしくお願いします。



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九の近況(11)~私の2022年~(3)詩 [その他]



11月に詩誌『凪』の創刊号が発刊されました。同人の半数以上の方がすでに詩集を出版している詩人の皆さんです。同人の端に加えてくださった主宰の石川敬大さんに感謝しています。たくさんの方に読んでいただきたいのですが売り切れ状態のようです。私の手もとにも残っていません。来年3月に2号の発刊予定です。創刊号はすぐに売り切れてしまいました。2号をお読みになりたい方はぜひ予約なさってください。


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詩誌「ココア共和国」への投稿も続けています。

 1月号 『できそこないの言葉』佳作集
 2月号 『セブンの孤独』佳作集
 3月号 『ほんとうの歌』傑作集
 4月号 『僕のシュレッダー』佳作集
 5月号 『チョコの拳銃』傑作集
 6月号 『やさしい公園』傑作集
 7月号 『うちにはねシタイがあるんだよ』傑作集
 8月号 『白い消しゴム』傑作集
 9月号 『黒い皿』傑作集
10月号 『ひび』佳作集
11月号 『チキンカレー』傑作集
12月号 『赤いバトン』佳作集

昨年に続いて毎月欠かさず投稿することができ、すべて傑作集または佳作集に選んでいただきました。投稿数が増えてかなりの狭き門となっているようですが来年も楽しみながら頑張ります。

詩作は自分の心の庭になった果実をもいで収穫する感覚でやっています。毎回どんな果実がなるのか自分でもわかりません。地面の具合や天候によって実のできは違いますが、とにかく丁寧に洗って磨きをかけて出荷しています。喜んでいただけるかどうかはすべて読んでくださった方次第です。甘く感じる方、苦く感じる方、あるいは未熟と感じて捨ててしまう方もいるでしょう。「ココア共和国」の検品はだんだん厳しくなってきています。

「ココア共和国」には紙版(税込770円)、電子版(税込275円)があります。紙版には傑作集のみ、電子版には傑作集と佳作集が掲載されています。ぜひ一度読んでみてください。きっとあなたも詩を書いて投稿したくなりますよ。

購入、応募はこちらで↓

詩誌「ココア共和国」ホームページ
https://www.youyour.me/
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九の近況(11)~私の2022年~(2)小説 [その他]

小説

今年は第25回「伊豆文学賞」の佳作に選んでいただきました。『戸川半兵衛の黒はんべ』という作品です。

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私は東京で生まれましたが、1歳から18歳まで静岡市の清水で過ごしました。千葉に来たとき初めて黒はんぺん(かつては「黒はんべ」と呼ばれていました)が静岡にしかないことを知り愕然としました。黒はんぺんは私の大好物だったからです。母校の岡小学校の近くにはおでんを食べさせる店があって友達とよく行きました。駄菓子も売っていたので小学生でも入りやすかったのだと思います。それに串に刺したおでんは1本5円か10円で子どもでも買い食いできるような安価な食べ物でした。静岡のおでんは円い釜で炊かれて、真ん中にある味噌を自分で付けて食べました。その甘い味噌が私は好きでした。具材の中でも黒はんぺんは大人気でした。家庭で食べるときは大人はちょっと炙ってショウガ醤油などで食べまていました。フライにしても美味しかった。子どもはおやつとして生でかじっていました。

黒はんぺんはイワシやアジ、サバなどを材料としています。これらを骨ごとすり身にして、つなぎの澱粉、塩、砂糖を加え皿などの高台に半分塗って型をとって茹でます。「はんぺん」という名は高台の半分にだけ塗りつけたことから名付けられたそうです。骨ごとすり身にすることでわずかなジャリジャリした舌触りが残ります。

そんな清水っ子のソウルフード「黒はんべ」を創ったのが小学校中学校の同級生秋山君のご祖先であることを知ったのは最近になってからです。秋山君とは同じクラスになったことはありませんが共通の友人はたくさんいます。それらの友人たちを介してFacebookでつながることができました。秋山君は天才です。スポーツにおける実績は素晴らしく、オーダーメイドのジーンズショップの経営のかたわら動物の飼育にも熱心で、地元のテレビ局の取材を受けたこともあります。最近では廃材を利用したアーティストとしても活躍しています。そんな秋山君を知ると先祖が黒はんぺんを創ったという話も説得力がありました。いつもは口数の少ない秋山君のお父様が酔うと御先祖が黒はんぺんを作ったという話をしていたそうです。家族の歴史が江戸時代から親から子へとつながれて来たという話は魅力的でした。

この話に興味を持った私はまずは黒はんぺんの起源について文献を調べはじめました。ところが起源として挙げられている文献のどこにも該当の記事を見つけることができませんでした。念のため他の文献も調べましたが、私の調べた限りでは黒はんぺんにつながる記事はどこにもありませんでした。仕方なく秋山君の話を中心にほとんど私の想像で書き上げました。
秋山君の話はとても詳細で説得力がありました。当時の網は粗くてシラスや桜エビは捕獲できなかったこと、イワシの重さで船が転覆したなどのエピソードはすべて彼の話をもとにしています。秋山くんの話がなければこの物語は生まれなかったと思います。

1つだけ変更したことがあります。秋山君の話では隠居した徳川家康が豊漁のイワシのほとんどを捨ててしまうことを惜しんで賄方の戸川半兵衛に新しい食べ方を考案するように命じたとありました。まだ肥料としての干鰯(ほしか)が普及していない時代のことです。半兵衛は秋山くんの御先祖である清水の網元秋山仁右衛門に相談し、仁右衛門が考案されたのが「黒はんべ」だったそうです。
これを私は家康の孫である駿河大納言忠長が駿府城にいたときの話に変えました。家光と忠長の確執については以前から書きたいと思っていたからです。特に忠長の乱心を伝える家光側の勝者のストーリーに反発を感じていました。しかしながら、今思えば家康のままの方がほんわかした優しい話になったような気もします。この作品を読んでみたい方は直接出版社にお問い合わせください。

第二十五回「伊豆文学賞」優秀作品集 羽衣出版(054-238-2061) 定価1,400円
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拙作の他、最優秀賞『海豚』(髙部 努)、優秀賞『黒潮の岬』(江尻七平)、佳作『ラスト・ソングス』(シズカ・クサナギ)をお読みいただけます。いずれも読み応えのある作品ばかりです。またこれら〈小説・随筆・紀行文部門〉の他に〈掌編部門〉の優秀作品も掲載されています。

9月には同人誌「山田組文芸誌」の第7号が発行されました。同人は全部で5名。今回参加したのは3名でした。小さな同人誌ではありますが、これまで参加した同人誌はすべて3号を発行できずに終わっていましたので、第7号まで続けることができてよかったです。

今回のテーマは「映画」。今から半世紀以上前、私が中学1年のとき、従兄弟たちと『ローマの休日』を初めて観ました。そのときのことをもとに『ドリーム座の休日』という短編を書きました。他の2編も力作です。よろしければ読んでみてください。

山田組文芸部
https://note.com/yamadagumi
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この他はショートショートを1本書いて「BOOK SHORTS」の「第9回ブックショートアワード」に投稿しました。この賞は全国の民話やお伽噺などをもとにショートショート(5000字以内)を書いて投稿します。月ごとに優秀賞の発表があり、12月までの各月の優秀賞作品から大賞が選ばれます。大賞に選ばれた作品は映像化される可能性もあります。登録すればどなたでも参加できますよ。民話やお伽噺に想像力の羽をつけて飛ばすだけですから書きやすいですし、長さも手頃です。気軽に挑戦してみてください。

「BOOK SHORTS」
https://bookshorts.jp/

新しい小説の構想はいくつかあるのですがなかなか書き始められずにいます。
長編は2本。1本は以前書いた時代小説の続編、もう1本は第2次世界大戦を背景とした長編です。
短編は4本。2本は時代小説。2本は現代小説。それぞれ応募する文学賞も決まっています。
とにかく書くしかありません。駄作を恐れず書くだけです。

この他に3月に結果の出る応募作が2編あります。
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九の近況(11)~私の2022年~(1)座・劇列車公演 [その他]

大晦日に書いています。今年も1年ありがとうございました。

座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出 高平九)が無事終演いたしました。御来場いただいた皆様、応援していただいた皆様ありがとうございました。


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アンケートやメールなどで感想が続々と届いています。嬉しかったのは地元の方が四街道の歴史に興味を持ってくださったこと。それから芝居をきっかけに身近な方と戦争について語り合ってくださったことです。母方のお祖父様が野戦砲兵学校の校長だったことを初めて知った方がいました。実は親戚に少年砲兵がいらしたという方もいらっしゃいました。帰りにルボン山に登ってくださった方もたくさんいらっしゃいます。


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今作の上演意図の一つは、観ていただいた皆さんに四街道の歴史や戦争について思い出してもらうことでした。私たちの今は間違いなくその延長上にあるのに、日々の忙しさにかまけて忘れてしまっています。そもそも戦争を体験した方の多くが、あまりにつらい経験であったために口を噤んで語らないそうです。その口を無理にこじ開けようとは思いませんし、その行為を責める気持ちもありません。ただ戦争の本当の姿を伝えてくれないとその事実はなかったことにされてしまいます。そしてまた同じことを繰り返してしまいまいます。そういう危惧を抱いて重い口を開いてくださった方もいらっしゃいます。私たち世代の役割は戦争を体験した皆さんの話に耳を傾けて次世代に伝えることだと思います。
私の母は女学生のときに東京空襲を経験しています。祖母や叔母達は秋田の親類の家に疎開していましたが、田舎はつまらないと言って母は1人で東京に帰って来たそうです。都庁に勤めていた祖父は東京の中野にいました。帰りの列車が機銃掃射されたそうです。下町空襲の翌朝には川を流れていくおびただしい数の死体を見たそうです、家の物干し場で艦上機に乗る敵パイロットの顔を見たそうです。そして夜空を銀色に光るB29の編隊がブルンブルンという不気味なエンジン音を響きかせ、その機体から焼夷弾がヒューヒューと風を切って落ちてくる音を聞いたそうです。そんな話を子どもの頃から聞かされていました。思うにそれは母の私へのバトンだと思います。「戦争だけはやってはだめ」と母はいつも戦争の話を締めくくりました。母はもういませんが、この芝居を作ったことをきっと褒めてくれると思います。母からもらった大事なバトンを少しだけ渡すことができたように感じています。

それぞれの思いをこめて熱演してくれた劇団の仲間、素晴らしい舞台を作り上げてくださった劇団アルファーの皆さん、そして何より会場に足を運んでくださったお客様に感謝いたします。
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