SSブログ

九の近況(13)~私の2023年 [近況]

九の近況(13)~私の2023年
20231222_124501.jpg

前回近況を書いたのは5月でしたから、半年以上ぶりの近況になります。もはや人に読んでもらうというより自分の記録みたいなものですね。長くなります。

今年の後半は様々な病気に悩まされました。でも、それが8月の『千年天女』公演以降に始まったというのはそれまで執行猶予を与えてくれていたのかなとも思います。それほど一気に体調が悪くなり、たくさんの人に迷惑もかけました。来年はまずは体調を整えて、皆さんに恩を返すことを心がけようと思っています。

昨年くらいからでしょうか、小説にしても詩にしても脚本にしても、何とか「いのち」に届くようなものが書けないかともがいています。「いのちに届く」なんてかっこつけすぎかな。それにわかりにくいですね。つまりは、人生、生きることに深く関わるというような意味です。時には「いのち」を削ることもあるし、時には逆に「いのち」に火を点けてエネルギーとなることもあるでしょう。この場合の「いのち」とは自分自身のものですが、自らの「いのち」に届くようなものが書ければ、自然に他の人の「いのち」にも届くのではないかと思うのです。これはお芝居も同じで「いのち」から汲み出すようにセリフを言えないか、もがいています。この場合の「いのち」は「ほんとう」と置き換えてもいいです。「ほんとうの言葉」でセリフを言いたいといつも思います。でもそれは自分ひとりではできません。相手役や役者がみんなで作る状況のなかで、自然に深いところから「ほんとうの言葉」が吸い出されるような気がします。一度稽古でできたと感じても次の稽古でできるとは限らないところが悩ましい(笑)

小説

自分はなぜ文学賞に応募するのだろうかと、ときおり考えます。賞金はほしいです(笑)賞を獲って人に褒められたいという承認欲求もあります。特に退職してからは何者でもありませんからね。無職より作家の方がかっこいいです。でもそれだけではありません。私はやはり物語が書きたいのです。それによって人や社会や歴史とつながりたいのだと思います。文学賞は自分のなかから物語を吸い出す道具立てなのかもしれません。

2月に応募した「第3回更級日記千年紀文学賞」(千葉県市原市・市原市教育委員会主催)には、残念ながら入賞できませんでした。応募したのは『花燃香』という作品です。応募は74作でした。一次選考の7作には選ばれました。しかしその先に進めませんでした。7作中5作が入賞だっただけに自らの力量の不足を痛感しています。

3月には佐賀県の嬉野温泉和多屋別荘が主催する「三服文学賞」に応募しました。大賞に選ばれると「ライターインレジデンス」の権利を1年間もらえるという副賞が魅力でした。旅館に泊まって小説を執筆なんて夢のようですよね。まったくダメでしたけど、テーマに沿ってショートショートを書くというのは楽しいことでした。来年もあれば応募したいと思います。

同じ3月には「創元ミステリ短編賞」にも応募しましたが、これもまったくダメでした。

4月は「創元ホラー長編賞」に応募しました。今年限りの募集だそうです。しばらく前に書いた絵画を題材としたホラー小説を書き直して応募しましたが、やはりまったくダメでした。

4月は「第18回ちよだ文学賞」(千代田区主催)にも応募しました。少しだけ自信がありましたが、まったくダメでした。好きな作品でしたので正直ショックです。

5月以降まったく書けませんでした。作家を志す人は毎日書くといいます。見習いたいのですが、なかなかできない。自分は怠け者なのだと最近気付きました(笑)笑いごとじゃない。



詩誌「ココア共和国」への投稿は4年目になりました。
「ココア共和国」には紙版と電子版があり、紙版には傑作集に選ばれた作品だけが、電子版には傑作集と佳作集に選ばれた作品が掲載されます。今年から「高平九」でネット検索すると傑作集に選ばれた号の「ココア共和国」がヒットするようになりました。作家になったみたいでちょっと嬉しいです。

今年は傑作集に7回選ばれました。これは昨年と同じなのですが、内容的には昨年の方がよかったと自分では思っています。以前にも書いたことですけど、小説は意識して努力しないと書けませんが詩は自然に生まれてきます。とは言え、毎月締め切りのある詩誌に投稿してからの方が詩は生まれやすくなりました。誰かも読まれない詩を書くより、誰かに読んでもらえる詩を書く方が楽しいにきまっています。

「ココア共和国」の掲載誌の選考は詩人の秋亜綺羅さんと佐々木貴子さんが担当しています。お2人はもちろん投稿詩すべてに目を通してくれていますが、それ以外にも詩人の齋藤貢さん、漫画家のいがらしみきおさんの「絶賛」、女優の秋吉久美子さんの「いいね!」をもらえることがあります。つまり少なくともこれらの皆さんが自分の詩を読んでくれているということです。「絶賛」「いいね」をもらったときは「読んだよ。面白かったよ」と励まされたような気持ちになります。でも、もらえないときも読んでくれたているのです。たとえ傑作集・佳作集に入れなくても、「絶賛」「いいね」をもらえなくても真剣に読んでくれたという事実には変わりはありませんからね。

「ココア共和国」傑作集掲載の記録
 4月号 風に名を尋ねてみた
 5月号 穴
 7月号 宇宙のベンチ
 8月号 心臓喰い
 9月号 それは降りのエレベーター
11月号 耳たぶ
12月号 果実のせかい

コロナ禍によって人とつながることの大切さを我々は痛感しました。自分のなかの「ほんとうの言葉」を探して人前にさらしてみませんか。そうすれば何かを感じてくれる人は必ずいると思います。もちろん簡単なことではありません。ようやくつかんだと思っても、次の瞬間に見失っていることばかりです。でも探さないことにはけして見つかりません。「探しても見つからなかったよ」なんて詩も私はよく書きます。同じように「ほんとうの言葉」を求めている人にはそんな言葉も響くものです。もちろん「ほんとうの言葉」を表現できれば必ず誰かが反応してくれるはずです。

詩誌「凪」にも創刊号から参加しています。掲載した詩を朗読していただく機会もあって、自作の別の味わいを見つけることもできます。99人の詩人の参加する「凪アンソロジー2023」も来年早々に発行予定です。楽しみです。

演劇

8月に千葉高校演劇第8地区の小芝居祭りに山田組として参加しました。山田組は地区の演劇部顧問や演劇部のOBなどがその都度組んで作るユニットです。この夏の演目は拙作『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』。今回は演出だけのつもりでしたが、急に出られなくなった人がいて代役をやりました。いつものことですが稽古はたった3日間。再演とはいえ、なんとかしてしまうキャストに感心します。今回は特に新しい方も多くて楽しく稽古、本番に臨むことができました。お手本を見せようとは思っていません。舞台の上で顧問もOBも現役も隔てなく、みんなで思い切り楽しんで芝居をしている姿を観てもらいたいです。顧問の威厳がどうのこうのという人は山田組にはいません。すべてをさらけ出せる人がいちばん強い人だと私は信じています。
8月27日(日)には千葉市民創作ミュージカル『千年天女』に出演しました。3年前、原作が大賞に選ばれたものの、稽古の途中で無期延期になった作品です。幻の作品になることも覚悟しましたがスタッフや講師の先生方のお陰で上演することができました。作品を救っていただき感謝しています。
新たに集まったキャストは市民ミュージカルにしては少なめの29名でした。しかし、小笠原響先生をはじめ講師の先生方の熱心な指導のお陰で人数以上の迫力ある舞台になったと思います。役者の1人としてはなかなか先生方の要求に応えられずもどかしいこともありました。でも熱い指導に食らいついていくうちにいつも以上の熱量のある芝居ができたような気がします。先生方と仲間たちに「ほんとう」を引き出してもらいました。

10月8日には拙作『白雨五人男女?(しらさめごにんおとこおんなはてな)』四街道公民館まつりで上演しました。私も久しぶりに犬役で出演しました。思いがけず多くの皆さんに観ていただき感謝しています。雨の朝、停留所でバスを待つ5人の男、女、そして?(はてな)の物語です。その日は5人それぞれの人生にとって特別な一日です。1人ずつ見栄を切って内面を語る様子は、歌舞伎の「白浪五人男」のようでもあり、ミュージカルの「コーラスライン」のようでもあります。数年前に県の文化フォーラムで好評を博した作品ですが、今回の反応は今一つでした。キャストは頑張っていたんですがねえ。
1696828612398.jpg

12月3日には四街道市民劇団 座・劇列車の第34回公演『ヒーローのいる町』(作・田悟健一)に出演しました。2年連続のオリジナル作品の上演は劇団始まって以来のことです。私は悪の組織の元幹部で、引退して地元に帰って来たさえない中年男、西ノ森猛の役でした。
1701657424352.jpg

前半は『千年天女』と稽古と時期が重なっていたため、なかなかセリフも入らず迷惑をかけました。悪いことに『千年天女』の公演直後にコロナに感染し私のみならず家族全員が次々倒れました。後遺症もあってなかなかセリフも覚えられず困っていると、今度は原因不明の腹痛に悩まされ、検査を受けようとした矢先に半月板損傷で歩けなくなりました。そんなこんなでなかなか集中できず、いつもなら8月中にはセリフは入っているのですが、今回は11月初旬までかかってしまいました。
たまたまヒーローに怪我をさせられて引退した設定でしたので、セリフを一部変えてもらい杖をついて舞台に立つことになりました。幸い私の膝の方は順調に快復し、多少は痛かったもののなんとか無事舞台を終えることができました。ところが悪いことは重なるもので、公演直前に今度は西ノ森の弟分役の十文字がリアルに左腕を骨折してしまいました。十文字も西ノ森の地元で静養中という設定に変えてなんとか切り抜けることができましたが、いやはや全員無事に舞台に立てることは奇跡なんだと改めて感じました。33回の本公演を一人も欠けずに、つまり無事故で走って来た劇列車はまさに奇跡の劇団です。
お陰様でたくさんのお客様に喜んでいただきました。うちの劇団にしては珍しく大きな拍手や爆笑がありお客様が心から楽しんでくださっているのが実感できました。キャストもノリノリで楽しく演じられました。観ていただいた皆様、本当にありがとうございました。
1701673244737.jpg
個人的なことですが、その後大腸の検査でポリープが1つ見つかり、手術になりましたが、結果もう1つポリープが見つかり2つ切除しました。前日飲むはずだった下剤を紛失してしまい、腸内をきれいにできず一泊二日のはずが二泊三日になりました。カメラを入れる際も憩室が多くて固くなっているようでいつも泣きそうな痛みです。今年の前半に成田山でくじ引きを引いて珍しく大吉でした。どうやらそれがピークだったようです。しかしよく考えてみると、予定されていたすべての公演に出演できたわけですから、実はすごくラッキーだったかとも思えます。私こそ奇跡の人なのかもしれません(笑) 来年1月には私の書き下ろしの『千葉駅零時九分発内房線最終電車殺人事件』を上演します。残念ながら一般公開はしませんが、劇列車が上演する機会もあるかもしれません。どうぞお楽しみに。 来年2月には「長寿大学」修了式に呼ばれています。また今年に引き続き「SAMMU演劇祭」にも参加予定です。どちらも演目は『白雨五人男女?』。前回以上にはじけた芝居にできればと思っています。「長寿大学」は受講生の皆さんしか御覧になれませんが『SAMMU演劇祭』はどなたでも観ていただけます。 期日 2024年2月18日(日) 会場 山武市成東文化会館のぎくプラザホール。JR成東駅から徒歩約13分。 開演 2時。開場は1時半。 チケット 1,000円。高校生以下は800円(学生証などご持参ください) その他 他に「12OGB」「TeamSwit[コピーライト]h」さんが参加します。順番はまだ決まっていません。上記チケットで3団体の公演すべてを御覧いただけます。 座・劇列車は年内の稽古を終えました。来年度の候補は現在7作までしぼられました。そのうちの一つは私が書いたオリジナルです。来年の7日から1月いっぱいかけて候補作を3作までしぼって演出に提案することになっています。まだ正式には発表していませんが、来年度は外部から演出家を迎えて新作に挑む予定です。最終的にどの本を上演するかは演出に決めてもらうことになっています。団員も20名に増えてさらにパワーアップした劇列車を御覧になれると思います。ご期待ください。 最後に毎年応募している「第34回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の結果です。一次選考に通過したものの今回は残念ながら「佳作」でした。その上の「佳作特別賞」に選ばれるとお~いお茶のラベルに掲載され、お茶を1ケース送ってくれます。今回は賞状だけでした。でも俳句を考えるだけで楽しいので来年も応募するつもりです。 以上です。 長々とすいません。読んでくださった奇特な方には来年はきっといい年になるでしょう(笑) では、来年も座・劇列車と高平九をどうぞよろしくお願いします。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。