SSブログ

九の近況(12) [その他]

久しぶりに近況を書きます。

小説

物語は私にとって最も古い親友です。父親は商売人でした。映画は好きでしたが本を読んでいる姿は一度も見たことがありません。そんな父がある日「児童文学全集」を買ってくれました。幼い私はそれらの本、「巌窟王」「ああ無情」「家なき子」「フランダースの犬」「小公子」「若草物語」「秘密の花園」などを何度も繰り返し読んでは感動に心を震わせていました。いつかそういう物語を作る人になりたいと思っていました。ですから、売れない小説を書いている今がいちばん幸せかもしれません。

1月末締め切りの「千葉文学賞」(千葉日報主催)に応募したのですが、すでに文学賞自体がなくなっていたことを知り衝撃を受けました。長く続いた地元の文学賞だっただけにとても残念です。

2月は「第3回更級日記千年紀文学賞」(千葉県市原市・市原市教育委員会主催)に応募しました。市原は若いときに過ごした思い出の地です。一昨年も昨年も応募したいと思いながら、なかなか書けずにいたので初めて応募できただけで嬉しく思っています。

3月は佐賀県の嬉野温泉和多屋別荘が主催する「三服文学賞」に応募しました。大賞に選ばれると「ライターインレジデンス」の権利を1年間もらえるという副賞が魅力です。旅館に泊まって執筆。夢のようですね。ショートショートはあまり得意ではありませんが2編出しました。
「創元ミステリ短編賞」にも応募しました。「ミステリーズ」から改名して1回目の募集です。もともとは私の目標は江戸川乱歩賞でしたが、どうもミステリーは苦手なようです(笑)久しぶりに書いたミステリーの短編です。

4月は「創元ホラー長編賞」に応募しました。今年限りの募集だそうです。しばらく前に書いた絵画を題材としたホラー小説を書き直して応募しました。
「第18回ちよだ文学賞」(千代田区主催)にも応募しました。今回で4回目の応募になります。2回目に応募した『桜田濠の鯉』は第15回の千代田賞をいただきました。作品集にも載せていただき妻にも劇団の団員にも読んでもらいました。さて今回はどうかな。

5月は「京都文学賞」(京都文学賞実行委員会主催)に残念ながら応募できませんでした。これまで2回応募し一昨年は一次選考を通過しました。昨年から隔年開催になっているので次の募集は再来年になります。途中までは書いたのでこれから2年かけてしっかり完成させようと思います。
5月中に「第22回このミステリーがすごい! 大賞」に応募する作品をまとめたいのですが、かなり枚数をオーバーしているので、どこを削るか悩んでいます。

5月まで書いた新作は短編2本とショートショート2本です。ジャンルを絞るべきなのかもしれませんが、色々なものを書きたいという思いを抑えられません。むしろジャンルを超えた作品を書きたいと思っています。言うほど簡単ではありませんが。



小説は書きたいと思って書いていますが、詩は自然に湧いてきます。息を吐くのと同じです。世界を吸っていると必然的に詩が生まれます。詩を吐かないと苦しくなります。それが私の詩です。

詩誌「ココア共和国」への投稿を続けています。1月から3月は佳作集(電子版のみ)でしたが、4月、5月と傑作集(電子版と紙版)に載せてもらっています。4月号の『風に名を尋ねてみた』は齋藤貢さんの「絶賛」と秋吉久美子さんの「こりゃいいね!」をいただきました。両方付けていただくのは久しぶりです。5月号の『穴』にもやはり秋吉さんの「こりゃいいね」をいただきました。4月発表の「秋吉久美子賞」の選評には今年も名前を挙げてもらいました。秋吉さんの選評にはなんと「高平九は美しい佇まいの人だ」とありました。もう一人の選考委員である齋藤貢さんにも「賞に選びたいと思った一人」というお言葉をいただきました。お2人の言葉に胸が熱くなりました。お言葉を励みにまた1年投稿を続けようと思います。

「ココア共和国」は投稿詩を中心とした詩誌です。10歳に満たない子どもさんから80歳以上の年配の方まで、様々な世代の人が詩を投稿しています。ずっと詩を書いている人も最近書き始めた人もみんな平等に選考されます。一度電子版でも紙版でも読んでみてください。きっとあなたの胸を熱くする言葉に出会えると思いますよ。

詩誌「凪」2号にも同人として参加しています。「凪アンソロジー2023」にも参加予定です。

演劇

演劇は憧れでした。幼稚園では一人でキリギリスの役をやり、初めて舞台で歌いました。小学校では友達とお芝居を作って上演していました。でも、それからはずっと演劇は遠くから眺めるだけのものでした。30代でパントマイム、40代で芝居を始めました。劇団に入ってから今年で20年になります。芝居は作っているときがいちばん楽しい。稽古大好きです。

2月には座・劇列車としてSAMMU演劇際に参加。『村田さん』(鈴木聡 作)を上演しました。演出を担当し役者としても出演しました。『村田さん』はキャストは5人、35分ほどの上演時間です。とてもいい作品ですので多くの方に演じてほしいです。上演許可をくださった鈴木聡さん、親切に対応してくださった「ニベル」のスタッフの皆さんに感謝です。

3月には劇団ルネッサンスの公演にパントマイムで参加しました。久しぶりに同じやまさわたけみつ門下の先輩川島とも子さんと「舞夢」というユニットを組みました。老舗劇団の大黒柱として長年活躍していた小高皇司さんの引退公演ということもあり、とても温かな雰囲気の公演でした。参加させていただき感謝しています。自分のマイムがいかに錆び付いているか実感した公演でした。

先のことですが、8月27日(日)に千葉市民創作ミュージカル『千年天女』に出演します。3年前原作を書いて大賞に選ばれた作品です。キャストも集まり稽古も始まっていたのですが、コロナ禍のために無期限の延期になっていました。残念ながら今年は参加できないキャストもいましたが、新しい仲間を迎えて3年ぶりに上演できることをとても嬉しく思っています。本格的なミュージカルへの参加は初めてですので、毎回の稽古がとても新鮮で楽しいです。ちなみに私は踊りません(笑)

これも先のことですが、
10月8日には公民館まつり公演があります。演目は未定です。
12月3日には私の所属する四街道市民劇団 座・劇列車の第34回公演『ヒーローのいる町』(作・田悟健一)を上演します。2年連続のオリジナル作品上演は劇団始まって以来のことです。

来年2月には「長寿大学」修了式に呼ばれています。また今年に引き続き「SAMMU演劇祭」にも参加予定です

詳細は不明ですが、来年は千葉県演劇連盟主催の「千葉演劇祭」もあるそうです。

またもや充実した1年になりそうです。
番外

「伊藤園新俳句大賞」には毎年応募しています。今年は久しぶりに「二次審査通過のお知らせ」が届きました。3回目ですが、佳作入賞が1回、もう1回は落選でした。今度はどうなるか楽しみです。入賞すると名前入りのボトルがひと箱届きます。色んな人から「見たよ」という便りが届くのも嬉しいです。
長いブログにお付き合いいただきありがとうございました。

nice!(0)  コメント(0) 

皇産霊神社に初詣 [その他]

四街道市和良比の奇祭「はだか祭り(どろんこ祭り)」で有名な皇産霊神社(みむすびじんじゃ)に行って来ました。

昨年の公演の際、四街道市文化センターホールのホワイエに鉛筆画で有名な福田芳生さんの作品が展示されていました。それを見た劇団の入村代表が興奮したように私たちに報告したのです。
「皇産霊神社の近くの防空壕と思い込んでいたものは実は本土決戦に備えて少年たちを訓練する施設だったみたいだ。子どもの頃、近くで遊んでいたのにまったく知らなかった」

福田さんの絵の説明によると、少年たちはその施設で敵戦車前に爆弾を抱えて飛び込む訓練をしていたそうです。

当時の軍部は、九十九里浜から連合軍が上陸し東京に向けて進軍すると想定していたそうですから、途中で待ち伏せして戦車を破壊するための少年ゲリラ兵を育成していたのでしょう。

皇産霊神社はもっと遠いところにあると思い込んでいましたが、実は家から徒歩30分のところにあることを知りました。しかもかつて何度も歩いた散歩コース沿い。迂闊過ぎます(汗)

四街道駅の南口前から真っ直ぐ延びている「おやしき通り」の道沿いに神社に通じる小道があります。「おやしき通り」はかつて豪農ばかりが居を構えていたためその名が付いたそうです。駅から徒歩で20分ほどだと思いますが、かなりの急勾配を下りて上るので足に自信のない方はバスを利用してください。四街道駅発「みそら団地行き」に乗り「皇産霊神社前」降車。

20230105_113352.jpg

バス停の先に「どんぐりの森」という手書きの表示がありますので、その小道を左に入ります。この表示はなぜか駅とは反対向きにかけられているので見逃しがちです。畑と住宅の間の細道をしばらく進むと左手に神社の森が見えてきます。右手にあるのが「どんぐりの森」という子供の遊び場です。

20230104_095152.jpg

この神社は、明治までは大六天神社(だいろくてんじんじゃ)という名称でした。地元の人は今でも「大六天様」と呼ぶそうです。「大六天」は「第六天」とも書き、仏教における欲界の最高位「他化自在天」の別称で、衆生の欲望を叶えることを喜びとします。欲望を捨て去ることを説いた仏教では修行を邪魔する悪魔のように位置付けられていましたが、庶民にとっては何でも願いを叶えてくれる存在ということで関東を中心に広く信仰されました。織田信長が自身を「第六天魔王」と称したという話もあります。「大六天神社」は元々神仏習合の寺院でしたが、明治の廃仏毀釈運動により御祭神を変更したり、この神社のように他の神様を合祀したりして存続をはかったそうです。当地では厄除けの神様として信仰され、子どもたちの無病息災を願って「はだか祭り」が行われたようになりました。

20230104_095905.jpg

一方、皇産霊神社は日本各地にあり、天地造化の大神、高皇産巣日神(たかみむすびのかみ)、神産巣日神(かみむすびのかみ)の二神大神を主祭神として皇産霊大神と尊称しています。高皇産霊神は男神、神皇産霊神は女神とされ、これら二神の「ムスビ」が宇宙の根本と考えられています。しかし、明治になって近くにある寺院の吉祥院から分かれなくてはならなくなりました。そこで大六天神社に合祀されたというわけです。

つまり、廃仏毀釈によって名称を隠したい第六天神社、吉祥院から分かれなくてはならなくなった皇産霊神社、両者の利益が噛み合ってできた神社ってことですね。まさに「ムスビ」の神です。

神社に向かう小道

20230104_095558.jpg

鳥居

20230104_095613.jpg

狛犬

20230104_095657.jpg

本殿

20230104_095739.jpg

境内

20230104_095943.jpg
20230104_100004.jpg
20230104_100057.jpg
20230104_100326.jpg

1月4日世の中は仕事初め。午前中の境内には人影はなく、とても静かで空気が澄んでいます。深く積もった枯葉に足を沈めながら境内の裏手にも回ってみました。木々の間から和良比の町を望むことができます。

帰りしな可愛い参拝者たちと出会いました。近くの保育園の子どもたちでしょう。はしゃぐ声を聞きながら、来たのとは反対の道を下りて行くと市立四街道中学の裏手に出ました。

20230104_100603.jpg
20230104_100729.jpg

ふと大事なことを忘れたのに気付きました。代表の言っていた施設を確認していなかったのです。仕方がないので道を戻ってそういう施設がないか見て回りましたが、結局見つけることはできませんでした。おそらく代表が子どもの頃は施設の一部が残っていて、福田芳生さんはその施設の由来を地域の古老から聞いていたのでしょう。しかし、施設の残骸が片付けられ、由来を知る人がいなくなれば、すべて忘れ去られてしまいます。今更ながら町や村の記憶というのは誰かが残そうと努めなければ、なかったことになってしまうのだなと思いました。

本土決戦前には上陸地点である九十九里浜から東京への経路にこのような施設がいくつも作られたことでしょう。配備されたのは義勇兵として動員された少年たちです。

まだまだ情報が足りませんが、皇産霊神社の近くで本土決戦に備えていた少年たちのことはぜひ形にしたいと思っています。

森の中にひっそりと鎮座する小さな神社です。近くの方は一度お参りしてみてはいかがですか。

20230104_095923.jpg

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(11)~私の2022年~(4)演劇 [その他]

脚本・演劇

今年は3回も舞台に立つことができました。

3月にはやまさわたけみつ先生の主宰するパントマイム集団MMTの『色即是空』に参加しました。「神奈川演劇祭」参加作品でした。フランスのアビニョン演劇祭でも好評を博した名作に参加させていただくことができ、稽古から本番まで最高の時間でした。馴れない殺陣の稽古ではとにかく足手まといにならないように必死で演じました。両足の爪が真っ黒になり筋肉痛に苦しみながらも楽しんでいました。やまさわ先生、藤井さん、キャストの皆さんに感謝しています。

10月には四街道公民館まつりの座・劇列車公演『村田さん』(鈴木聡 作)に出演し、演出も担当しました。30分強の短い作品ですが味わいのある名作です。

12月には座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出 高平九)がありました。3月から11月まで楽しく充実した稽古ができました。私の個人的な思いが詰まった作品でした。形にしてくれたキャスト、スタッフに感謝しています。集中して観てくださったお客様にもお礼を申し上げます。稽古から育てた熱が舞台をはみ出て会場全体に広がったような気持ちになりました。ありがとうございました。

来年は舞台の機会が増えそうです。

 2月26日(日)「SAMMU演劇祭」『村田さん』(作・鈴木聡)
 (山武市成東文化会館のぎくプラザ)演出・役者として参加します。


20221128_215638.jpg
20221128_215748.jpg

 3月25日(土)・26日(日) 劇団ルネッサンス第160回公演『かくれんぼ』  (千葉市南部青少年センター)2部「雑エンタテインメント」に出演します。

20221231_150608.jpg
20221231_150603.jpg

 8月27日(日)千葉市民創作ミュージカル『千年天女』  (千葉市民会館)原作を書きました。出演もします。プレ稽古は3月から始まります。  2023年はこの他に公民館まつりと第33回公演があります。忙しい年になりそうです。    すでに第33回公演の演目の選定が始まっています。昨年から1人が1作必ず推薦作品を提出することになりました。14作品が推薦されましたが様々な事情から8作品にしぼられました。来年はこの8作を読むことから始めます。なお、そのうちの2作は私ともう1人の団員が執筆中です。1月中旬までに書き上げてみんなに読んでもらい他の6作と競うことになっています。どうなることやら楽しみです。  今年も座・劇列車と高平九をよろしくお願いします。



20221208_144335.jpg

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(11)~私の2022年~(3)詩 [その他]



11月に詩誌『凪』の創刊号が発刊されました。同人の半数以上の方がすでに詩集を出版している詩人の皆さんです。同人の端に加えてくださった主宰の石川敬大さんに感謝しています。たくさんの方に読んでいただきたいのですが売り切れ状態のようです。私の手もとにも残っていません。来年3月に2号の発刊予定です。創刊号はすぐに売り切れてしまいました。2号をお読みになりたい方はぜひ予約なさってください。


「凪」創刊号表紙画像.png

詩誌「ココア共和国」への投稿も続けています。

 1月号 『できそこないの言葉』佳作集
 2月号 『セブンの孤独』佳作集
 3月号 『ほんとうの歌』傑作集
 4月号 『僕のシュレッダー』佳作集
 5月号 『チョコの拳銃』傑作集
 6月号 『やさしい公園』傑作集
 7月号 『うちにはねシタイがあるんだよ』傑作集
 8月号 『白い消しゴム』傑作集
 9月号 『黒い皿』傑作集
10月号 『ひび』佳作集
11月号 『チキンカレー』傑作集
12月号 『赤いバトン』佳作集

昨年に続いて毎月欠かさず投稿することができ、すべて傑作集または佳作集に選んでいただきました。投稿数が増えてかなりの狭き門となっているようですが来年も楽しみながら頑張ります。

詩作は自分の心の庭になった果実をもいで収穫する感覚でやっています。毎回どんな果実がなるのか自分でもわかりません。地面の具合や天候によって実のできは違いますが、とにかく丁寧に洗って磨きをかけて出荷しています。喜んでいただけるかどうかはすべて読んでくださった方次第です。甘く感じる方、苦く感じる方、あるいは未熟と感じて捨ててしまう方もいるでしょう。「ココア共和国」の検品はだんだん厳しくなってきています。

「ココア共和国」には紙版(税込770円)、電子版(税込275円)があります。紙版には傑作集のみ、電子版には傑作集と佳作集が掲載されています。ぜひ一度読んでみてください。きっとあなたも詩を書いて投稿したくなりますよ。

購入、応募はこちらで↓

詩誌「ココア共和国」ホームページ
https://www.youyour.me/
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(11)~私の2022年~(2)小説 [その他]

小説

今年は第25回「伊豆文学賞」の佳作に選んでいただきました。『戸川半兵衛の黒はんべ』という作品です。

16724628698682690882195564307732.jpg

私は東京で生まれましたが、1歳から18歳まで静岡市の清水で過ごしました。千葉に来たとき初めて黒はんぺん(かつては「黒はんべ」と呼ばれていました)が静岡にしかないことを知り愕然としました。黒はんぺんは私の大好物だったからです。母校の岡小学校の近くにはおでんを食べさせる店があって友達とよく行きました。駄菓子も売っていたので小学生でも入りやすかったのだと思います。それに串に刺したおでんは1本5円か10円で子どもでも買い食いできるような安価な食べ物でした。静岡のおでんは円い釜で炊かれて、真ん中にある味噌を自分で付けて食べました。その甘い味噌が私は好きでした。具材の中でも黒はんぺんは大人気でした。家庭で食べるときは大人はちょっと炙ってショウガ醤油などで食べまていました。フライにしても美味しかった。子どもはおやつとして生でかじっていました。

黒はんぺんはイワシやアジ、サバなどを材料としています。これらを骨ごとすり身にして、つなぎの澱粉、塩、砂糖を加え皿などの高台に半分塗って型をとって茹でます。「はんぺん」という名は高台の半分にだけ塗りつけたことから名付けられたそうです。骨ごとすり身にすることでわずかなジャリジャリした舌触りが残ります。

そんな清水っ子のソウルフード「黒はんべ」を創ったのが小学校中学校の同級生秋山君のご祖先であることを知ったのは最近になってからです。秋山君とは同じクラスになったことはありませんが共通の友人はたくさんいます。それらの友人たちを介してFacebookでつながることができました。秋山君は天才です。スポーツにおける実績は素晴らしく、オーダーメイドのジーンズショップの経営のかたわら動物の飼育にも熱心で、地元のテレビ局の取材を受けたこともあります。最近では廃材を利用したアーティストとしても活躍しています。そんな秋山君を知ると先祖が黒はんぺんを創ったという話も説得力がありました。いつもは口数の少ない秋山君のお父様が酔うと御先祖が黒はんぺんを作ったという話をしていたそうです。家族の歴史が江戸時代から親から子へとつながれて来たという話は魅力的でした。

この話に興味を持った私はまずは黒はんぺんの起源について文献を調べはじめました。ところが起源として挙げられている文献のどこにも該当の記事を見つけることができませんでした。念のため他の文献も調べましたが、私の調べた限りでは黒はんぺんにつながる記事はどこにもありませんでした。仕方なく秋山君の話を中心にほとんど私の想像で書き上げました。
秋山君の話はとても詳細で説得力がありました。当時の網は粗くてシラスや桜エビは捕獲できなかったこと、イワシの重さで船が転覆したなどのエピソードはすべて彼の話をもとにしています。秋山くんの話がなければこの物語は生まれなかったと思います。

1つだけ変更したことがあります。秋山君の話では隠居した徳川家康が豊漁のイワシのほとんどを捨ててしまうことを惜しんで賄方の戸川半兵衛に新しい食べ方を考案するように命じたとありました。まだ肥料としての干鰯(ほしか)が普及していない時代のことです。半兵衛は秋山くんの御先祖である清水の網元秋山仁右衛門に相談し、仁右衛門が考案されたのが「黒はんべ」だったそうです。
これを私は家康の孫である駿河大納言忠長が駿府城にいたときの話に変えました。家光と忠長の確執については以前から書きたいと思っていたからです。特に忠長の乱心を伝える家光側の勝者のストーリーに反発を感じていました。しかしながら、今思えば家康のままの方がほんわかした優しい話になったような気もします。この作品を読んでみたい方は直接出版社にお問い合わせください。

第二十五回「伊豆文学賞」優秀作品集 羽衣出版(054-238-2061) 定価1,400円
1648741468066.jpg

拙作の他、最優秀賞『海豚』(髙部 努)、優秀賞『黒潮の岬』(江尻七平)、佳作『ラスト・ソングス』(シズカ・クサナギ)をお読みいただけます。いずれも読み応えのある作品ばかりです。またこれら〈小説・随筆・紀行文部門〉の他に〈掌編部門〉の優秀作品も掲載されています。

9月には同人誌「山田組文芸誌」の第7号が発行されました。同人は全部で5名。今回参加したのは3名でした。小さな同人誌ではありますが、これまで参加した同人誌はすべて3号を発行できずに終わっていましたので、第7号まで続けることができてよかったです。

今回のテーマは「映画」。今から半世紀以上前、私が中学1年のとき、従兄弟たちと『ローマの休日』を初めて観ました。そのときのことをもとに『ドリーム座の休日』という短編を書きました。他の2編も力作です。よろしければ読んでみてください。

山田組文芸部
https://note.com/yamadagumi
1661876175751.jpg

この他はショートショートを1本書いて「BOOK SHORTS」の「第9回ブックショートアワード」に投稿しました。この賞は全国の民話やお伽噺などをもとにショートショート(5000字以内)を書いて投稿します。月ごとに優秀賞の発表があり、12月までの各月の優秀賞作品から大賞が選ばれます。大賞に選ばれた作品は映像化される可能性もあります。登録すればどなたでも参加できますよ。民話やお伽噺に想像力の羽をつけて飛ばすだけですから書きやすいですし、長さも手頃です。気軽に挑戦してみてください。

「BOOK SHORTS」
https://bookshorts.jp/

新しい小説の構想はいくつかあるのですがなかなか書き始められずにいます。
長編は2本。1本は以前書いた時代小説の続編、もう1本は第2次世界大戦を背景とした長編です。
短編は4本。2本は時代小説。2本は現代小説。それぞれ応募する文学賞も決まっています。
とにかく書くしかありません。駄作を恐れず書くだけです。

この他に3月に結果の出る応募作が2編あります。
nice!(0)  コメント(0) 

九の近況(11)~私の2022年~(1)座・劇列車公演 [その他]

大晦日に書いています。今年も1年ありがとうございました。

座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出 高平九)が無事終演いたしました。御来場いただいた皆様、応援していただいた皆様ありがとうございました。


20221215_223414.jpg

アンケートやメールなどで感想が続々と届いています。嬉しかったのは地元の方が四街道の歴史に興味を持ってくださったこと。それから芝居をきっかけに身近な方と戦争について語り合ってくださったことです。母方のお祖父様が野戦砲兵学校の校長だったことを初めて知った方がいました。実は親戚に少年砲兵がいらしたという方もいらっしゃいました。帰りにルボン山に登ってくださった方もたくさんいらっしゃいます。


20220723_172057.jpg

今作の上演意図の一つは、観ていただいた皆さんに四街道の歴史や戦争について思い出してもらうことでした。私たちの今は間違いなくその延長上にあるのに、日々の忙しさにかまけて忘れてしまっています。そもそも戦争を体験した方の多くが、あまりにつらい経験であったために口を噤んで語らないそうです。その口を無理にこじ開けようとは思いませんし、その行為を責める気持ちもありません。ただ戦争の本当の姿を伝えてくれないとその事実はなかったことにされてしまいます。そしてまた同じことを繰り返してしまいまいます。そういう危惧を抱いて重い口を開いてくださった方もいらっしゃいます。私たち世代の役割は戦争を体験した皆さんの話に耳を傾けて次世代に伝えることだと思います。
私の母は女学生のときに東京空襲を経験しています。祖母や叔母達は秋田の親類の家に疎開していましたが、田舎はつまらないと言って母は1人で東京に帰って来たそうです。都庁に勤めていた祖父は東京の中野にいました。帰りの列車が機銃掃射されたそうです。下町空襲の翌朝には川を流れていくおびただしい数の死体を見たそうです、家の物干し場で艦上機に乗る敵パイロットの顔を見たそうです。そして夜空を銀色に光るB29の編隊がブルンブルンという不気味なエンジン音を響きかせ、その機体から焼夷弾がヒューヒューと風を切って落ちてくる音を聞いたそうです。そんな話を子どもの頃から聞かされていました。思うにそれは母の私へのバトンだと思います。「戦争だけはやってはだめ」と母はいつも戦争の話を締めくくりました。母はもういませんが、この芝居を作ったことをきっと褒めてくれると思います。母からもらった大事なバトンを少しだけ渡すことができたように感じています。

それぞれの思いをこめて熱演してくれた劇団の仲間、素晴らしい舞台を作り上げてくださった劇団アルファーの皆さん、そして何より会場に足を運んでくださったお客様に感謝いたします。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(10) [その他]

九の近況(10)

いつの間にか前回の近況から1ヶ月半経ってしまいました。特に忙しいわけでもなかったのですが、心にゆとりがなかったのかもしれません。

小説

8月に同人誌「山田組文芸誌」第7号『ドリーム座の休日』という短編を投稿しました。今号のテーマは「映画」。中学1年のとき劇場で『ローマの休日』を観たときのことをベースに書きました。締め切り間際に致命的なミスを見つけて編集長に迷惑をかけてしまいました。申し訳ない。

「山田組アカデミー賞」というオススメの映画紹介文も載せていますので、よろしければ読んでみてください。書棚の本を見ると人物がわかるといいますが、好きな映画にもその人が反映しているものだと思います。さて、同人たちは皆さんの目にどんな人物として映るでしょう。

https://note.com/yamadagumi/
rectangle_large_type_2_3144337ea2dfccd116c0d08944714f85.jpeg
集英社ノベル大賞から選評が届きました。今回の2作は前回投稿したホラー小説よりは評価がよかったと思います。6つの観点それぞれについてABC判定がついてきます。 1つの作品は現代の京都を舞台として少女の冒険譚。もう1作はある拳銃を主人公にした時代小説です。どちらの作も4つの観点でAをもらいました。コメントも好意的でした。ちょっと甘すぎるかな。でも励みになります。ありがとうございました。 7月締め切りの第17回小説現代長編小説賞、8月締め切りの第14回小説野生時代新人賞は毎年目標としている文学賞ですが、今年はどちらも応募ができませんでした。残念です。 9月は第43回横溝正史ホラー&ミステリー大賞、第19回坊っちゃん文学賞第20回北区内田康夫ミステリー文学賞の締め切りがあります。いずれもWeb応募が可能です。残念ながら昨年佳作をいただいた伊豆文学賞は応募できませんでした。 [緊急のお知らせ] SPAC‐静岡県芸術文化センター奥野晃士(おくのあきひと)さんが、オンライン企画『伊豆文学賞作品を語る会』にて、昨年佳作をいただいた拙作『戸川半兵衛の黒はんべ』について語ってくれるそうです。昨日、中学校の同級生秋山くんから連絡をもらいました。『戸川半兵衛の黒はんべ』は清水っ子のソウルフード黒はんべ(黒はんぺん)を発明した秋山くんの御先祖と駿河大納言忠長の家来戸川半兵衛との交流を描いたものです。資料が少ないのでほぼ私の妄想ですが、秋山くんがお父上から聞いた話を元にしています。この作品を書けたのは秋山くんのお陰です。 奥野さんはSPACのベテラン俳優だそうです。拙作をどのように解説していただけるのかとても楽しみです。どなたでも無料で聴くことができるようです。 9月21日(水)午後7時から。 https://www.facebook.com/events/802466920785134/ 詩誌「ココア共和国」への投稿を中心に活動しています。7月号傑作集に『うちにはねシタイがあるんだよ』、8月号傑作集に『白い消しゴム』、9月号傑作集に『黒い皿』をそれぞれ掲載していただきました。 月に何度か自分の心の深い場所にダイブして何かをつかんで来ます。つかんできた欠片をきっかけに詩ができることもあるし、ただの断片で終わることもあります。毎月、どんな詩が生まれるか自分でも分かりません。それがまた楽しみでもあります。 さらに深く潜りたいといつも思っています。ですがそれにはもっと勇気と覚悟が必要です。今月はもう少し深いところに手が届くのか。自分でもわかりません。 紙版(税込770円)、電子版(税込275円)があります。 購入、応募はこちらで↓ 詩誌「ココア共和国」ホームページ https://www.youyour.me/ 先日『黒い皿』を題材に「これは小説か詩か」を考察していただきました。パーソナリティは紀政諮(きのまどい)さんと現代詩人になりたいアーニャbotさん。 ツイキャスの番組名は「コーヒーハウスまどい」夏休み期間特別企画「オペレーション〈恐竜人間(ディノサウロイド)〉‐現代詩人の素養を身につけよ‐」です。 https://twitcasting.tv/shizen_writing/movie/745550580 企画のコンセプトは散文詩を読解して「詩か小説か」を判定するというものです。結論としては「小説」と判定されてしまいました。もちろん作者として詩として書いているわけですが、読者によって小説と思われても仕方がありません。紀政諮さんは19歳の学生さん、アーニャさんは年齢不詳ですが、おそらく若い方だと思います。若いお二人がどんな読解をしてくださるかドキドキしながら聞いていましたが、時間をかけて詩の深いところまで丁寧に見ていただき、とても参考になりました。普通に詩を書いていても、こんなに深く読んでいただく機会はあまりないので感激です。若い方の感性は素晴らしいですね。紀政諮さんの豊かな知識を背景とした考察もよかったし、紀政諮に促されて謙虚に語るアーニャさんの鋭い指摘にも驚かされました。 40数年前、大学の教授が話してくれた詩人の吉野弘さんのエピソードを忘れることができません。細かな部分は間違っているかもしれません。御容赦ください。 ある中学で『夕焼け』を教材とした研究授業がありました。その反省会で「少女が最後に席を譲らなかったのはなぜか、生徒から色々な意見がありましたが、作者としてどういう考えで書かれたのですか?」と司会者が吉野さんに質問したところ、「生徒さんそれぞれの考えを尊重します。私がどういう意図で書いたかは言うべきではありません」と突っぱねたそうです。 詩人が自作について語るのは愚かなことです。詩における謎は詩人から読者に手渡されるバトンであって、そのバトンがどんな色なのかどんな形なのかどんな重さなのかは、渡された読者が決めるべきものであって、もはや詩人がとやかく言うことではありません。読者に手渡されたバトンがその人生の中で何らかの意味を持てばいいのです。いや、意味なんかなくても心の引出しのかなにそっと仕舞われていればそれでいい。忘れ去られることさえ詩の役割なのだと思います。 『黒い皿』の中にもしも誰かが謎を見出したとしたら、その謎を自分なりに解釈してみたとしたら、そのときこの作品はその人にとって小説ではなく詩になるのだと思います。 新しい詩誌『凪』(石川敬大主宰)の同人にしていただきました。同人は現在21人。すでに詩集を出している方もいます。「ココア共和国」の仲間も何人かいます。創刊号は11月に発刊予定。楽しみです。 戯曲・演劇 四街道市民劇団「座・劇列車」は12月4日(日)の第32回本公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出:高平九)に向けて通し稽古をしています。9月から通し稽古を繰り返して少しでもいいお芝居をお目にかけられるように頑張っています。 この芝居の主人公は戦時中まで四街道にあった陸軍野戦砲学校で学んだ少年砲兵です。2期生の一部は11ヶ月で繰上卒業となり前線に送られました。大本営の誤った情報により彼らの乗った輸送船は五島列島西海上で敵の潜水艦の魚雷を受けて沈没。70名いた先発隊のうち目的地のに行き着いたのは29名でした。生き残った少年砲兵もフィリピン、ビルマの激戦地に送られ、無事に帰国できたのは8名だけ。物語では時を超える不思議なオカリナを手に入れた少年砲兵が、現代にやって来て老人となったかつての戦友と出遭います。 10月9日(日)に予定されている「四街道公民館まつり」に参加します。今年はコロナ感染予防のため日ごろ公民館を利用している団体のみの発表会となりました。一般の方は入場できませんのでご注意ください。役者もマスクを着けて演じます。 演目は劇団ラッパ屋の主宰鈴木聡さんの書かれた『村田さん』です。演出は私高平。村田さんという人物の通夜の受付が舞台です。30数分の短い芝居ですが、笑い→しんみりの仕掛けが実によくできていて、特に中高年にはしみる芝居かもしれません。次回はぜひ多くの皆さんにも観ていただきたいです。

キャストは団員の小林和子、北清香、林健太郎、山田光太郎、それに客演の坂尾維彦です。

「村田さん」チラシ表.jpg
「村田さん」チラシ裏.jpg
観劇
7月にはパントマイムの師やまさわたけみつ先生とパパイヤ鈴木さんの公演を観てきました。錦織一清さんがゲストということもあって満員の会場は女性だらけ。パパイヤ鈴木さんと若いダンサーさんたちが先生のマイム作品に参加。とても楽しい作品になりました。皆さん、さすがに身体の使い方が上手です。パパイヤさんとニッキのダンス講義も楽しかった。
8月にはやまさわ先生のマイムに関する講義を聞きに川崎まで行きました。「異文化交流」の講座の1つでした。会場のカフェには20名ほどの観客。マイムの歴史についの講義にはじまり、若き日の先生の活動やマイムとの出遭いなど、これまで断片的に聞いていた話をようやくまとめて聞くことができました。講演のあとはそれぞれの自己紹介をしたり、先生のアルバムを見せていただいたり、あるいはアビニョン演劇祭の失敗談など楽しいで盛り上がったり、とても楽しい時間でした。 同じく8月には第3回四街道オペラ『被爆はまゆうの伝説』を観ました。前半は病気から復帰なさった安藤由布先生のガラコンサート、後半が市民によるオペラでした。 市民オペラには劇団員の小林和子(天野夫人役)、『やまんば おゆき』にも出演していただいた小林重昭さん(尾島良平役)、小松勢津子さん、それに元劇団員の長澤志保子さんが参加しています。さらに千葉市民創作ミュージカル原作大賞の仲間、庄司真由美さん。ガラコンサートでの独唱も素敵でした。 この作品は西村一郎氏の『広島・被爆ハマユウの祈り』が原作だそうです。陸軍兵士尾島良平は任地の広島で譲られたはまゆうを兵舎の庭で大切に育てていました。しかし、尾島は原爆の投下によって被爆し、故郷の鎌倉に戻りました。終戦の3ヶ月後、ハマユウのことが気になった尾島は広島に行き瓦礫の下でハマユウが咲いているのを見つけます。そして放射能に負けずに生きたハマユウの花を平和の象徴として世界中に送ったそうです。 白いハマユウの花が一瞬にショールになったり、バレエダンサーがまるで妖精のように物語に花を添えたりと素晴らしい演出の作品でした。四街道市民の皆さんの平和への思いにあふれた舞台だったと思います。その思いを今度は座・劇列車が引き継ぐことができるように頑張ります。お疲れ様でした。 毎回、長くなり申し訳ありません。最後まで読んでいただきありがとうございました。                                         高平 九

20220827_105507.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

九の近況(9) [その他]

6月23日は沖縄の慰霊の日でした。77年前の3月末から続いた沖縄戦が一応終わった日です。「一応」というのは、首里にいた牛島司令官の自決によって組織的な戦闘は終わりましたが、実はこの後の方が民間人の犠牲は多かったからです。解散となったひめゆり学徒の多くも自決したり崖から身を投げたりして亡くなりました。手榴弾をみんなで囲んで自爆したり、親兄弟で殺し合ったりという話もあります。アメリカ軍に捕まると女性は乱暴されて殺される。男は拷問された後で八つ裂きにされる。そんな噂がまことしやかに伝わっていたからです。中国大陸で戦った日本兵が自分たちが中国人に対してやったと同じようなことをされるとデマを広げたと言われています。ハワイから帰って来た人が「アメリカ人はそんなことはしない」と住民を説得して全員が助かったシムクガマの例があります。逆にそのすぐ近くにあったチビチリガマでは噂を信じた全員が自決しています。

「ガマ」というのは鍾乳洞のことです。沖縄には鍾乳洞がたくさんあり、沖縄戦では民間人がたくさん避難していました。そこに日本兵がやって来て住民を危険な壕の近くに配置したり、壕から追い払ったりしたそうです。

戦争は人を狂わせます。勝者も敗者もありません。加害者も被害者もありません。戦争を始めてはいけません。戦争を始めさせてはいけません。国家間の問題を戦争で解決しようとしてはいけません。話し合いという尊い手段を投げ出してはいけません。人間はもっと賢いはずです。

日本兵と沖縄の住民だけでなく、アメリカ兵も1万人以上が戦死しています。国籍に関係なく沖縄戦で命を落としたすべての方のご冥福を祈ります。

↓ 伊江島のビーチで拾った火薬。米軍が海に捨てた不発弾の火薬が今もビーチに流れ着くそうです。ライターで火を点けると勢いよく燃えます。

伊江島火薬 (1).JPG

小説

集英社ノベル大賞は2作とも二次選考を通過できませんでした。なかなか厳しいです。来年また頑張ります。
5月、6月は多くの文学賞の締め切りがありましたが、1作も応募することができませんでした。神奈川文芸賞(神奈川新聞社)にも応募できませんでした。4月からの不調がまだ続いています。別に焦ってはいませんが、今更ながら毎日きちんと書けない自分が情けない。言い訳ばかりが浮かんできます。それもまた情けない。

7月は講談社の第17回小説現代長編小説賞の締め切りです。ジャンルを問わず、400字詰め原稿用紙250~500枚の長編小説が対象の文学賞です。昨年はホラー小説で見事に一次落選でした。何とか書いて応募したいと思っています。



詩誌「ココア共和国」6月号傑作集に『やさしい公園』を載せていただきました。女優の秋吉久美子さんから「いいね!」をいただきました。近所の公園で実際に見た光景から世界の平和を祈って書いた詩です。私には何もできませんが祈ることだけはできます。たくさんの人が祈ればきっと何かが変わると信じています。
同じく7月号傑作集には『うちにはねシタイがあるんだよ』が載るようです。編集を担当している詩人の佐々木貴子さんは「平板な日常と思われるその隙間に密かに穿たれ、生い茂る綻び」と拙作に見事な批評をくださいました。なるほどそういうことなのかと教えられました。6月号と同じ公園を舞台としていますが、まったく異なる世界を描いています。秋吉久美子さんから「こりゃいいね!」もいただきました。よろしければ読んでみてください。

7月号のゲスト詩人は松下育男さんです。松下さんを知ったのは茨木のり子さんの『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)でした。『顔』という詩が紹介されていました。胸を錐で刺されたような衝撃を受けました。松下さんの詩は私の心に深く染みて、それまでとはまったく異なる詩が生まれてきました。私の詩をガラリと変えてしまう出遭いでした。40年以上経った今もその影響は続いています。今号の『水を飼う』にも感銘を受けました。切ない恋歌だと思います。最も尊敬する詩人です。

「ココア共和国」には、紙版(税込770円)、電子版(税込275円)があります。
紙版には傑作集、電子版には傑作集と佳作集が掲載されています。
購入、応募はこちらで↓

詩誌「ココア共和国」ホームページ
https://www.youyour.me/

資生堂 花椿「詩を探しています」にも昨年に続きまた2作応募してみました。昨年完全な空振りに終わったので応募する気はなかったのですが、なんとなくそれらしい詩が生まれてきたので応募しました。そう言えば昨年もそんな感じでした。

6月末日が締め切りの「神奈川文芸賞」の詩部門にも応募しました。1編は神奈川に関連した内容のもの、もう1編は自由テーマです。小説は書き切れなかったので何とか詩だけでもと投稿しました。神奈川県には色んな思い出があるのに、いざ書こうとすると詩にならない。それでもなんとかひねり出しました。

戯曲・演劇

四街道市民劇団「座・劇列車」『オカリナの少年~クロスロード2』(作:高平九)の演出を担当しています。まだ半立ち稽古(台本を持っての立ち稽古)の段階ですか、キャストのみんなが集中して稽古に臨んでくれるので、次第に形になってきました。

これまで、千葉県文化小ホールで『白雨5人男女?』(作:高平九)、四街道公民館で『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』(作:高平九)の演出をしましたが、本公演の演出は今回が初めてです。

これまで拙作『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』『人情喜劇カリホルニアホテル』を本公演の演目として選んでもらいました。いずれも演出は他の方にお願いしました。自分で書いたものを自分で演出するよりも他の人に演出をしてもらったほうが、世界が広がると考えたからです。実際、演出それぞれの解釈や工夫が作品世界を広げてくれたと思います。

今回、演出を引きうけたのは、内容が戦争を扱っていたこともあり観てくださる方の反応が予想できないからです。もしかすると反発もあるかもしれない。となると他の人に責任の一部を担ってもらうのは申し訳ありません。今回の作品については自分で全責任を負うつもりで演出を引き受けました。成功は役者の手柄、失敗は作者と演出の責任とさせていただこうと思います。

なんか格好よく書いてしまいましたが、要は実に個人的な思いの詰まった作品ということです。毎回、キャストのみんなにも私の思いを知ってもらおうと色々な話をさせてもらっています。東京空襲を経験した母の体験、朝鮮半島から引き揚げてきた父の家族の話、沖縄のいくつかのガマや伊江島などを訪れて見聞きしたことなどです。上演台本を仕上げる前には、キャストのみんなからもそれぞれの思う戦争について話してもらい、少なからず台本にその思いを盛り込んだつもりです。

もちろん、こちらで戦争について黒か白からを押しつけるつもりはありません。この芝居を観た人に戦争について考えてもらいたい。この四街道という土地で実際にあったことを知ってもらい、その時代とつながりを持ってもらいたいということです。

以前上演した「クロスロード~運命をつなぐ四つ辻」もそうですが、過去の出来事を単なる歴史ととらえるのではなくて、自分たちと同じ人間が生きていた現実のように感じてもらいたいのです。現代という四つ辻から過去から未来へとつながった道を眺めてもらいたいのです。風に乗った人々の生の声を聞いてもらいたいのです。よりよい未来へ向かうために。

「第22回AAF戯曲賞」(愛知県芸術劇場主催)募集の案内が送られてきました。締め切りは7月末。以前『カリホルニアホテル 春』で応募しました。今回はどうしようかな。この賞はすでに上演した作品でも応募することができます。

「第22回AAF戯曲賞」詳細はこちら↓
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000607.html

10月7日~9日に予定されている「四街道公民館まつり」に参加をすることにしました。日頃公民館を利用している団体の発表会です。座・劇列車は例年通りだとすると9日(日)2時~の上演になると思います。正式には8月末の会議で決まるそうです。

すでに演目も決定し上演許可を取って稽古を始めていますが、8月末の会議で正式に実施が決まってから演目を発表させていただきます。30分強の小品ですが面白い芝居です。公民館との打ち合わせによって席数などの決まってきますので、しばらくお待ちください。コロナが収まって無事上演できることを願っています。

観劇(予定)

7月にパントマイムの師やまさわたけみつ先生がパパイヤ鈴木さんの公演に出演します。
また8月には先生の講演もあります。楽しみです。

今回も長くなりました。大した内容でもないのに最後までお付き合いいただきありがとうございました。本当に毎日暑いですね。熱中症にもコロナに感染もせずお互い健やかに夏を乗り切りましょう。 高平 九
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(8) [その他]

5月12日は65回目の誕生日でした。
多くの皆さんにSNSやメールで「おめでとう」をいただきました。ありがとうございました。

いくつになっても祝ってもらうのは嬉しいです。まだまだここにいていいのだと思えるからです。

5月12日はナイチンゲール、武者小路実篤、バート・バカラック、風吹ジュンの生まれた日。私の大好きな人ばかり。皆さん、お誕生日おめでとうございます。

ちなみに65年前の5月12日は日曜日、つまり母の日でした。
母は東京で生まれました。戦時中は両親の実家のある秋田に疎開していましたが、田舎はつまらないと一人で戻って来て、3月10日の東京大空襲に遭遇したそうです。戦争は2度としてはならないとよく言っていました。母の語る空襲の話にはB29の爆音や焼夷弾の擬音がよく出てきました。その「ブルンブルン」「ヒューヒュー」という不気味な音は今も耳に残っています。母が生きていたらロシアのウクライナ侵攻にさぞ胸を痛めたことでしょう。私にとっての誕生日は亡き母を偲ぶ日でもあります。ウクライナに1日も早く平和を。母とともに祈ります。

小説

「集英社ノベル大賞」の一次選考に2作残っています。この賞はとても人気があって一次を通った作品だけでもすごい数です。千葉県だけで38作。2作品が残っている人はざらで中には9作品残っている猛者もいます。
5月から7月にかけての二次から四次選考で候補作品が絞られます。受賞作品発表は8月。以前ホラー小説で二次まで残りましたが三次は通過できませんでした。そのときに丁寧な選評をいただいました。構成、文章力など観点別に評価がされていてコメントも実に親切でした。希望者にはこのような選評をいただけるのがこの賞の大きな魅力です。作家を育てようという姿勢が素晴らしいと思います。
二次選考は5月下旬です。今回の目標はとりあえず三次突破です。

第26回「伊豆文学賞」の案内が郵送で届きました。前回「戸川半兵衛の黒はんべ」で佳作をいただいた賞です。

小説・随筆・紀行文部門
小説:30枚から80枚程度
随筆・紀行文:20枚から40枚程度
締め切り:9月30日

掌編部門
5枚程度
締め切り:9月16日
(枚数はいずれも400字詰原稿用紙換算)

静岡の自然、地名、行事、人物、歴史などを題材・素材とした作品というシバリはありますが、どなたでも応募できます。入賞すると立派な装丁の単行本(優秀作品集)に掲載されるのも魅力の一つです。

詳しくはこちらの「伊豆文学フェスティバル」ホームページをご覧ください。


20220518_141420.jpg

4月からずっと不調が続いています。
3年間続けていた「ちよだ文学賞」への応募もできませんでした。作品の形は見えているのに書き切れないという状態です。
5月は「第21回このミステリーがすごい!大賞」(宝島社)、「第26回日本ミステリー文学大賞新人賞」(光文社)、「第15回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」(福山市・島田荘司)
とミステリーの長編を対象とした賞の締め切りがあるのですが、これも構想はあるものの書き切れずに今に至っています。5月は諦めて6月の賞に集中しようと考えています。

6月は「第102回時代小説短編賞」(元オール讀物新人賞/文藝春秋社)、「第12回ポプラ社小説新人賞」、「第8回ジャンプホラー大賞」(集英社)、「第5回徳島新聞阿波しらさぎ文学賞」(徳島新聞社・徳島文学協会)、「神奈川文芸賞」(神奈川新聞社)などの締め切りがあります。

今のところ「時代小説短編賞」に応募するつもりですが、「神奈川文芸賞」は今回から名称を変えて応募資格を県外に広げました。隔年ということもあるので今回はぜひ応募したいと思っています。


詩誌「ココア共和国」5月号の傑作集に拙作『チョコの拳銃』を載せていただきました。傑作集に選ばれると紙版、電子版両方に載ります。佳作集は電子版に載ります。また今回は傑作集Ⅰの4作目だったので表紙にも名前が載りました。表紙に名前が載ったのは3度目です。実に嬉しいです。
また主宰の詩人秋亜綺羅さんからも編集前記でコメントをいただきました。コメントをいただいたのは3度目です。感激です。
詩人斎藤貢さんの「絶賛」、秋吉久美子様の「なんだかいいね!」までいただきました。ありがとうございました。


20220518_142138.jpg

もう50年以上詩を書いています。中三のときずっと好きだった女の子に詩画集を作って贈ったことがありますが、すぐに「これはもらえない」と返されました。高一のとき現代文の先生が詩を気に入ってくれて校誌に載せてくれました。「眠りの精」という感傷的な詩です。その他にも高校文芸部の部誌に何度か詩を載せてもらいました。遠い昔の話です。それからはほとんど誰にも見せずに詩を書いてきました。「ユリイカ」に何度か投稿して入賞・佳作をいただいたことがあるくらいです。
「ココア共和国」は従兄の紹介で知りました。この詩誌に投稿することで長いあいだ引きこもっていた私の詩をようやく外に出すことができました。
様々な世代の、様々な地域に住む人たちと交流できることを今は楽しんでいます。

詩誌「ココア共和国」の詳細はホームページをご覧ください。投稿もこちらからできますよ。

6月は資生堂「花椿」の「詩を探しています」の締め切りがあります。昨年は2作出したのですが全く相手にされませんでした。特に女性限定ではないのでまた挑戦したいと思っています。

戯曲

座・劇列車第32回公演上演作品『オカリナの少年~クロスロード2』の上演台本を書き上げました。12月4日(日)四街道市文化センターにて上演する予定です。


20220518_141604.jpg

今月からこの台本を使って半立ち稽古(台本を持っての立ち稽古)を開始しています。

お芝居をしたことがない方は、役者はセリフさえ暗記すればいいと勘違いしていることが多いのですが、暗記するだけでは役に立ちません。セリフはよく「入れる」とか「入る」と表現します。その場面の状況に適した言葉を、相手役とのやり取りのなかで身体と心に染み込ませてはじめてセリフが生きた言葉になります。セリフの暗記は通過点に過ぎないのです。むしろ暗記してからが本格的な稽古になります。
セリフが入ると芝居が楽になります。セリフから解放されて自由に芝居ができるようになります。キャスト全員がセリフを入れると芝居が一気に躍動しはじめます。稽古のなかでもっとも楽しく美しい瞬間です。でもそこが終点ではありません。そこからさらにギアを上げて毎回生きた人物が舞台に立っているような芝居を目指します。舞台に完成はありません。毎回毎回、そのときの命を演じようとするだけです。

さて、今作はどんな命を舞台に上げることができるでしょう。楽しみです。

嬉しい連絡が来ました。『バスジャックプレイヤー』を神奈川県の高校が春の大会で上演してくれるそうです。今回で4校目になります。改作については原則受け入れることにしています。演じる団体の都合もありますし、その団体にふさわしい演出もあります。むしろそれぞれの団体のオリジナル作品にしてほしいと思います。
作品とは自分の子どものようなものです。特に戯曲の場合は他の団体に上演してもらうことで成長するような気がします。独立した子がそれぞれの環境でどんな作品に成長するのか楽しみです。残念ながら観に行くことはできないので上演台本を送ってくださいとお願いしてあります。

『バスジャックプレイヤー』などの戯曲はこちらでお読みいただけます。「はりこのトラの穴」です。作者名「高平九」で検索してください。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
世界がコロナウィルスの脅威から解放されることを切に祈ります。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

九の近況(7) [その他]

ウクライナの悲劇が伝えられるたびに胸が痛くなります。人の国を侵略するなどという暴挙はけして許してはなりません。戦争は外交の敗北であり理性の敗北です。力の強いものが好き勝手をできるような社会にしてはいけません。それは家庭の中でも、教室でも、職場でも同じです。一日も早くウクライナに平和が戻りますように。

以下、3月の近況を綴りました。例によってとても長いので、興味のあるところだけ拾い読みしてください。半分は私の備忘録です。

小説
3月に『戸川半兵衛の黒はんべ』「第25回伊豆文学賞」の佳作をいただきました。選んでいただきありがとうございました。1年以上落選ばかりでしたので少しほっとしました。この話は小学校中学校の同級生秋山くんの御先祖について書きました。ご先祖である清水の網元秋山仁左衛門という人が駿府城の賄頭半兵衛に依頼されて黒はんぺんを考案したというのです。秋山君の話では隠居していた徳川家康が大漁の鰯を廃棄する話を聞いて、新しい食べ方を考えるように半兵衛に命じたそうです。私は家康を孫の松平忠長に変えて創作しました。このように同級生の御先祖の話を題材にした物語でしたので入賞は特に嬉しかったです。作品は「第25回伊豆文学賞優秀作品集」に掲載されていますので、機会がありましたら読んでみてください。最優秀賞の『海豚』(髙部務さん)をはじめ他の掲載作品も素晴らしいものばかりです。それからまだ召し上がったことのない方はぜひ一度黒はんぺんを食べてみてください。おでんに入れても、フライにしても、ちょっと炙って生姜醤油につけて食べても美味しいですよ。私が子供のころはおやつ代わりに生のままかじっていました。

1648741468066.jpg

1648741468413.jpg

3月初旬から中旬にかけて一次、二次選考のあった「第65回千葉文学賞」は一次選考も通りませんでした。この作品も知り合いの方のご先祖について書きました。力量不足を痛感しています。知り合いの方にも申し訳ないことをしました。いつかリベンジします。

「第3回京都文学賞」に応募した作品は一次選考を通って218作品中32作品に選ばれましたが、残念ながら二次選考6作品には入れませんでした。
先日、選評が郵送されて来ました。一次選考通過作品の作者全員に送っているようです。とても親切な文学賞です。ありがとうございます。
一次の書評家の方の選評と、二次選考で読んでくださった読者選考委員の意見がありました。読んでいただきありがとうございました。読者選考委員は「よかったところ」と「改善した方が良いと感じたところ」について意見を寄せてくれています。全部でA4用紙に3枚。厳しい意見が多くて落ち込みましたが、もっといい作品を書くためにしっかり受け止めようと思います。読者選考委員の皆さん、ご意見ありがとうございました。選評の一部は「京都文学賞」のサイトでお読みいただけます。

このほか、現在選考結果待ちの作品が4本あります。

詩誌「ココア共和国」への投稿を続けています。3年目になります。
今月発行された4月号では三賞の発表がありました。二十歳未満の詩人が対象のYS賞は菅沼きゅうりさん秋吉久美子賞は森崎葵さんいがらしみきお賞は伊藤テルさんがそれぞれ受賞なさいました。皆さんおめでとうございます。
嬉しかったのは秋吉久美子賞の最終候補3人の中に選んでいただいたことです。私たち世代には憧れのマドンナ秋吉久美子様から「高平九の詩が好ましい」というお言葉もいただき舞い上がっています。しばらく地上に降りられないかもしれません(笑)

「ココア共和国」は投稿詩を中心にした詩誌です。様々な世代の詩人たちが毎月渾身の詩を寄せています。アマチュアとはいえ、どの詩も個性的で感受性豊かな作品ばかりです。まさに「今」そのもののリアルでヒリヒリとした心と言葉がしのぎを削っています。ぜひ一度読んでみてください。そして、もしも言葉が溢れてきたら投稿してみてください。発行責任者の秋亜綺羅さんも、編集の佐々木貴子さんも親切に対応してくださいます。投稿は「ココア共和国」サイトからできます。一行の文字数、全体の行数に制限がありますのでテンプレートを事前に御確認ください。



紙版は傑作集、電子版は傑作集と佳作集が掲載されています。

詩誌「ココア共和国」は同名のサイトまたは各書籍購入サイトからお求めいただけます。

20220327_182330.jpg

戯曲
12月4日に上演予定の座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』の台本第2稿を書きました。

20220325_161920.jpg

この作品の構想は『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』を書き上げたときからありました。四街道には名前の由来とも言われる四街道十字路があります。四つの道は千葉、船橋、東金、成田にそれぞれ至りますが、いずれも本街道ではありません。辻にはエノキの大木と井戸があり、旅人はエノキの葉陰で足を休め、井戸の水でノドを潤したそうです。『クロスロード』はこのエノキの精霊のような老婆ときが主人公です。幕末の日米修好通商条約締結前夜、七夕に千葉を襲った空襲の夜、現代の3つの時代、ここで出会った人々のドラマにときは立ち会います。

今回の『クロスロード2』にも、ときは登場します。四街道にはかつて佐倉藩の火業所(砲術練習場)がありました。日米修好通商条約を締結に奔走した大老堀田正睦は佐倉藩主で、「蘭癖(らんぺき)」と陰口を言われるほど蘭学に傾倒していました。有名な順天堂を設立したのも、家臣に西洋の砲術を学ばせて火業所を作ったのもその正睦です。

明治政府は佐倉藩の火業所を陸軍の砲兵訓練に使用するため拡張整備しました。この指導に当たったのが、来日していたフランス陸軍砲兵大尉ジョルジュ=ルボンでした。大砲の射垜(しゃだ・目標)だった小山(大土手山)を地元の人々がルボン山と呼ぶのはこのためです。

Point Blur_20220202_225213.jpg

このルボン山の傍らに野戦砲兵学校がありました。元々は野戦砲(車輪のついた大砲)を扱う下士官の養成所でしたが、戦争末期には15歳から17歳の少年兵を全国から募って訓練しました。そして1期生と2期生の一部は戦場に送られました。特に2期生の先発隊70名はたったの11カ月の訓練で激戦地フィリピンに送られ、途中敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて41名が戦死しています。また生き残った29名も皆激戦地で戦い、生還できたのはたったの8名でした。

『クロスロード2』の主人公は2期生の幸平です。幸平は『クロスロード』の2場に登場した女医久子の弟です。幸平はルボン山でときからオカリナをもらいました。そしてこのオカリナの不思議な力で現代にタイムワープします。そこで幸平は90歳になった野戦砲兵学校の同期生田村に会います。

この作品を書こうと思ったのは、戦争体験者が少なくなったこともあってか、SNSに日本も本格的な軍備を持つべきだという書き込みが目立って来たからでした。今一度、戦争について真剣に考えるときではないかと思ったのです。ですが、予期せぬロシアのウクライナ侵攻で戦争がとても身近なものになってしまいました。この状況の中で戦争の作品を上演していいのか、私の中に迷いが生じました。しかし団員たちの多くはこの時期だからこそ上演すべきだと励ましてくれました。

この作品を観ることで、戦争というもの、そして日本と世界の未来についてじっくり考えるきっかけにしてほしいと思います。

舞台
3月12日にMMTパントマイムの『色即是空』に出演させていただきました。「かながわ演劇博覧会」参加作品です。

『色即是空』はかつてエジンバラ、アビニョンの演劇祭で演じられ絶賛された演目です。私にとっては憧れの作品でした。ですからこの作品に出演できるのは夢のようなお話でした。

2月に連絡をいただき、2回の稽古とリハーサル、本番という付け焼き刃の舞台でしたが、初めてやまさわたけみつ先生から殺陣を指導していただき感激でした。10年間パントマイムを指導していただいたのに、殺陣は教えていただいてなかったのです。子供の頃からチャンバラ少年であり時代劇大好きな私にとって、この歳で殺陣に挑戦できるなんてこれまた夢のようでした。

結局、着物の帯も結べず、袴も自分1人では履けないという情けない侍でしたけど、何とか必死に演じました。ご指導いただいたやまさわたけみつ先生、お誘いいただいた藤井さん、殺陣や帯の結び方など細かく面倒見てくださった金井さん、一緒に殺陣を頑張ってくださった木下さん、そして「おてもやん」を親切に指導してくださった名取さん、その他のMMTパントマイムの皆さん、親切にしていただき本当にありがとうございました。またぜひご一緒させてください。

1647215589321.jpg

同人誌「山田組文芸部」
同人5名、準同人1名の同人誌です。すでに6号まで発行しています。これまで私の関わった同人誌はいずれも3号発行に至らなかったので、最長記録を更新中。

6号から編集長が豆太郎くんになりました。彼は高校生のときに『ろぼっとはーと』で絵本作家としてデビューした将来有望な逸材です。6号からは表紙だけでなくすべてのデザインがおしゃれになりました。内容だけでなくデザインもお楽しみに。最新号(6号)はこちら ↓


http://note.com/yamadagumi/

27日に久しぶりに会合を開きました。とても楽しい時間を過ごすことができました。

第7号のテーマは「映画」に決まりました。

今回も長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。皆さんにとって素晴らしい春になりますように。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー