SSブログ

九の近況(11)~私の2022年~(1)座・劇列車公演 [その他]

大晦日に書いています。今年も1年ありがとうございました。

座・劇列車第32回公演『オカリナの少年~クロスロード2』(作・演出 高平九)が無事終演いたしました。御来場いただいた皆様、応援していただいた皆様ありがとうございました。


20221215_223414.jpg

アンケートやメールなどで感想が続々と届いています。嬉しかったのは地元の方が四街道の歴史に興味を持ってくださったこと。それから芝居をきっかけに身近な方と戦争について語り合ってくださったことです。母方のお祖父様が野戦砲兵学校の校長だったことを初めて知った方がいました。実は親戚に少年砲兵がいらしたという方もいらっしゃいました。帰りにルボン山に登ってくださった方もたくさんいらっしゃいます。


20220723_172057.jpg

今作の上演意図の一つは、観ていただいた皆さんに四街道の歴史や戦争について思い出してもらうことでした。私たちの今は間違いなくその延長上にあるのに、日々の忙しさにかまけて忘れてしまっています。そもそも戦争を体験した方の多くが、あまりにつらい経験であったために口を噤んで語らないそうです。その口を無理にこじ開けようとは思いませんし、その行為を責める気持ちもありません。ただ戦争の本当の姿を伝えてくれないとその事実はなかったことにされてしまいます。そしてまた同じことを繰り返してしまいまいます。そういう危惧を抱いて重い口を開いてくださった方もいらっしゃいます。私たち世代の役割は戦争を体験した皆さんの話に耳を傾けて次世代に伝えることだと思います。
私の母は女学生のときに東京空襲を経験しています。祖母や叔母達は秋田の親類の家に疎開していましたが、田舎はつまらないと言って母は1人で東京に帰って来たそうです。都庁に勤めていた祖父は東京の中野にいました。帰りの列車が機銃掃射されたそうです。下町空襲の翌朝には川を流れていくおびただしい数の死体を見たそうです、家の物干し場で艦上機に乗る敵パイロットの顔を見たそうです。そして夜空を銀色に光るB29の編隊がブルンブルンという不気味なエンジン音を響きかせ、その機体から焼夷弾がヒューヒューと風を切って落ちてくる音を聞いたそうです。そんな話を子どもの頃から聞かされていました。思うにそれは母の私へのバトンだと思います。「戦争だけはやってはだめ」と母はいつも戦争の話を締めくくりました。母はもういませんが、この芝居を作ったことをきっと褒めてくれると思います。母からもらった大事なバトンを少しだけ渡すことができたように感じています。

それぞれの思いをこめて熱演してくれた劇団の仲間、素晴らしい舞台を作り上げてくださった劇団アルファーの皆さん、そして何より会場に足を運んでくださったお客様に感謝いたします。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。