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千葉駅零時九分発内房線最終電車殺人事件 [戯曲]

久しぶりに山田組のための小品を書きました。
千葉駅零時九分発内房線最終電車殺人事件』という作品です。山田組の作品としては『バスジャックプレイヤー』『俺らってやっぱ天使じゃねえ』に続いて3作目です。

山田組は千葉県高校演劇部第8地区顧問有志とOBなどで作っている劇団です。これまで「小芝居祭」の最後に短い芝居を上演してきました。「小芝居祭」とは第8地区高校演劇部が集まって開催している演劇祭です。

台本(既製または創作)はあらかじめ配付されますが、山田組としての稽古時間は部員たちがリハーサルをしている2日間だけです。でも、かなり本気でやってます(笑)

小芝居祭」自体は今年も開催できましたが、今年も山田組の出番はありませんでした。来年こそはという祈りを込めて新作を書きました。

バスジャックプレイヤー』はエレベーターを舞台とした名優ジャック・レモンの名作短編の趣向を借りて作りました。舞台は乗合バスの車内です。
突然乗り込んできたバスジャック犯人。ところが客の中に長い間離ればなれになっていた親子がいて……。

俺らってやっぱ天使じゃねえ』は『カサブランカ』の監督マイケル・カーチスの『俺たちは天使じゃない』という映画へのオマージュという思いで作りました。主演はハンフリー・ボガート。この映画は後にロバート・デ・ニーロ主演でリメイクもされています。
主婦の真莉が男を拾ってくる。次女の美加は毎度のことなので驚かない。真莉は無類のお人好しで困っている人を放っておけない性格なのだ。そこに長女安珠の恋人や借金取りが現れて……。

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千葉駅零時九分発内房線最終電車殺人事件
題名を見てすでにお気付きの方もいらっしゃると思いますが、今作はわたくしが崇拝するアガサ・クリスティー先生の名作の匂いをそこはかとなく漂わせた作品となっております。ぜひアガサ臭を楽しみながら観ていただければ幸いです。

とは言え、いつになったら上演できるかわかりませんので、とりあえずいつもの場所に台本を上げておきます。山田組より先に上演なさりたい方は御連絡ください。

いつもの場所↓

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『オカリナの少年~クロスロード2』について [戯曲]

四街道市民劇団「座・劇列車」第31回本公演で拙作『オカリナの少年~クロスロード2』を上演してくれることになりました。本公演では『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』『人情喜劇カリホルニアホテル』に続き3作目です。

来月から3名のニューフェイスを迎えることになり、現在、キャストを増やして台本を書き直しています。

また、探していた「平和よ永遠に~少年砲兵史」(少年砲兵史編集委員会)という資料も、ようやく手に入れることができました。

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今、イトーヨーカ堂(四街道店)のある場所には戦時中まで陸軍野戦砲兵学校がありました。

文化センターの隣にルボン山(大土手山)という小山があります。かつてこの下志津原が佐倉藩の火業所(砲術の練習場)だった頃、この山が射朶(しゃだ・目標)として使われていました。明治以降も引き続き陸軍が野砲の訓練に使っていました。総武本線が開通し四街道駅ができると、駅の方面に大砲を撃つのは剣呑だという理由から、ルボン山の方から撃つことになったそうです。そのとき砲兵学校はもちろん、周辺の店などが一度に駅の近くに引っ越しを余儀なくされました。

終戦近くなると兵士、中でも知識と経験のある下士官が不足したのでしょう。それまで徴兵の対象外だった15歳から18歳までの少年兵を募集しました。2年弱の訓練で下士官になれるということもあって、全国から応募者が殺到したようです。昭和17年12月に四街道の野戦砲兵学校(生徒隊)に入学した一期生120名は19年5月に卒業後、それぞれの任地に向かいました。2期生は417倍の難関の中から選ばれた優秀な生徒たちでした。昭和18年12月に入学、その半数の70名が翌年の11月に繰り上げ卒業しましたが、門司港から南方戦線に向かう輸送船団が潜水艦に襲われ41名が亡くなりました。生き残った29名はそれぞれ激戦地に送られ無事に復員したのは8名に過ぎませんでした。後発の二期生は昭和20年3月に卒業し、それぞれの任地に赴任しました。三期生、四期生は在校時に終戦となりました。

「少年砲兵史」には四街道の陸軍野戦砲兵学校で学んだ生徒たちの記録が、復員した元生徒たちの手記を中心にまとめられています。断片的だった私の知識もこれを読むことでようやくまとまってきました。情報は大事ですね。二期生の乗った輸送船が襲われたのも元をただせば台湾沖航空戦での戦果が誤って(あるいは故意に歪められて)伝えられたことが原因でした。航空戦で大勝し、その海域は安全だからと輸送船団を送ったそうです。

フェイクニュースにも気を付けなければいけませんが、政府からの情報も鵜呑みにしてはいけませんね。状況が苦しくなると都合のいい情報しか流さない。これは今も昔も同じなのかもしれません。

『オカリナの少年~クロスロード2』は前作『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』の2場から派生したスピンオフ作品です。前作にも登場した不思議な婆さん小野とき、それから女医者新藤久子も再び登場します。久子の弟が少年砲兵だったという話は前作にも話題として語られますが、今作ではその弟幸平が主人公です。

幸平がときからもらったオカリナを吹くと……おっとここから先は12月4日(日)公演まで秘密です。

四街道が舞台の物語なので、特に四街道市民の皆さんに観ていただきたいと願っております。そして、この作品を観てくださることをきっかけに今一度「戦争」について考えていただきたいと思います。

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九の近況(4) [小説]

「コロナめ、また来やがったか」と思っていたら夜中の津波警報。本当に何があるかわかりませんね。今も不安な日々を送っている方も多いと思います。お見舞い申し上げます。でも、せめて気持ちだけは元気でいましょうね。頑張らなくてもいいです。まずは自分と大切な人の心と体を守りましょう。

温かいものが食べられるといいですね。それだけで少し心も穏やかになる気がしませんか。実はそういう小説を書いて、「第25回伊豆文学賞」に応募したところ、ありがたいことに佳作をいただきました。『戸川半兵衛の黒はんべ』という作品です。昨年応募した作品はほとんど一次で落選していたので今年最初の結果が入賞でほっとしています。

この作品は静岡っ子のソウルフード「黒はんぺん」誕生について書いたものです。小学校中学校の同級生秋山君の御先祖が「黒はんぺん」の考案者だという話をFacebookで読んだのがきっかけでした。地元の人は「黒はんぺん」のことを「黒はんべ」と呼びます。皿の高台にイワシやアジのすり身を半分だけ塗って型取りをしたから「半片」と呼んだという説もあるのですが、静岡で隠居生活をしていた徳川家康が豊漁だったイワシの大半が捨てられるのを知って、賄方(まかないかた)の戸川半兵衛にイワシの料理を工夫をさせ、その料理を「半兵衛」の名から「はんべ」と名付けたという説もあります。秋山君の祖先は清水港の網元秋山仁左衛門という人物で、半兵衛から料理のことを相談されて妻とともに「黒はんべ」を考案したのだそうです。

黒はんぺん」はあまり日持ちがしないのでほとんど地元でしか売られていません。地元では駅の売店でも売られていて、私も静岡に行くと必ず土産に買って帰ります。色や味は「つみれ」に似てますけど風味が少し違います。半円形の「黒はんぺん」を串に刺して静岡おでんの味噌につけて食べると実にうまい。少し炙って醤油を垂らして食べてもおいしいです。フライも好き。もちろん生でも食べられます。子どもの頃はおやつ代わりに食べていました。私は「はんぺん」と言えば「黒はんぺん」だと思っていたので、静岡を離れてからおでんに入っている白いはんぺんを見て驚きました。今でもはんぺんとお茶は静岡のものが一番だと思っています。静岡名物「黒はんべ」、まだ食べたことがない方はぜひ味わってみてください。


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小説の話に戻ります。私の小説に大御所を出すのはちょっと敷居が高かったので、設定を孫の駿河大納言忠長に変えました。松平忠長は一般的には3代将軍をめぐる実兄家光との政争に負けて乱心したということになっています。しかし、常に歴史は勝者によって作られるものです。忠長の乱行と伝えられていることが実際は家光サイドの陰謀だったと解釈して、「黒はんべ」ができた経緯と重ねて小説にまとめました。もちろんほとんどは私の妄想ですが、美味しいものを食べると心も穏やかになるというような小さな真実もいくつか仕込んであります。

入賞作品をまとめた本が3月に出版される予定だそうです。興味のある方は読んでみてください。

第3回京都文学賞」にも応募しました。『羅生門の猫』という作品です。一次選考で218篇中32篇までは入ったのですが、二次選考の6篇には残ることができませんでした。力不足を痛感しています。「最終選考に入らなければどこで落とされても同じ」というある作家の言葉が痛いです。

この作品は、同級生たちに鴨川に落とされた女子高生がタイムワープして、子猫の晴明やタイムパトロールの道遠とともに平安時代や戦国時代、江戸時代などへ時間旅行をする話です。はじめてのSFだったので楽しんで書きました。結果はともかく大好きな作品です。誰か読んでください(笑)

戯曲の方では、私の書き下ろした『オカリナの少年~クロスロード2』が今年12月4日の座・劇列車第32回本公演の上演作品として選ばれました。演出も私がやることになりました。本公演の作・演出ははじめてなので緊張しています。
この作品は、2016年に上演した『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』の続編です。ただし続編と言ってもほとんどつながりはありません。共通しているのは地元四街道を舞台としていることと、どちらにも小野ときというお婆さんが出てくることくらいです。前作は「四街道」という地名の元になったと言われる四つ辻(四街道十字路・諸説あります)が舞台でしたが、今作の舞台は公演会場四街道文化センターの近くにある「ルボン山」と、その隣に戦中まであった陸軍野砲兵学校です。戦争の末期、15歳から18歳までの少年がこの野砲兵学校で下士官になるための教育を受け、一期生、二期生はフィリピンなどの激戦地に送られました。主人公はその少年兵の一人です。 長い間劇列車を指導していただいた西田了先生が「四街道に生まれた子たちが地元を故郷と思えるような作品を作りなさい」とよくおっしゃっていました。『クロスロード』の公演後、四街道十字路を見に行ってくださったお客様がいらしたという話を耳にしました。とても嬉しく思いました。四街道にいながらルボン山のことをよく知らない人もいるようです。今回の作品も帰りにちょっとルボン山に寄ってみようかという方がいればいいですね。地元に愛着を持つには、その土地にふさわしい「物語」が必要だと私は思っています。

ルボン山」、変な名前でしょう。正式には「大土手山」というそうです。四街道で芝居をするようになってから何人かの人に「ルボン山」について教えられたので、四街道の人は皆さん知っているのかとも思いきや、劇団員の中にも大土手山をルボン山と呼ぶことさえ知らない人がいました。さて、なんで「ルボン山」なのでしょう。答えを知りたい方はぜひ公演を観にいらしてください。小野ときさんから詳しい説明がありますよ(笑)

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12月4日(日)座・劇列車第32回本公演『オカリナの少年~クロスロード2』よろしくお願いいたします。 また、長々と書いてしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

↓ 『クロスロード~運命をつなぐ四つ辻』(2016)の画像とチラシ

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明けましておめでとうございます。 [戯曲]

明けましておめでとうございます。

昨年は私が脚色を担当した『やまんば おゆき』(座・劇列車第31回公演)をご覧いただきありがとうございました。

また、5月9日には拙作『俺らってやっぱ天使じゃねえ?』を同じ劇列車が上演してくれました。感染予防のためにマスクをしての上演でしたが、こちらも多くの皆さんに観ていただくことができました。ありがとうございました。

明日はある高校が拙作『バスジャックプレイヤー』を上演してくれます。若い人たちの演じる『バスジャックプレイヤー』とても楽しみです。

詩作の方は詩誌『ココア共和国』にお世話になりました。投稿した詩のうち6作を傑作集に、残り6作を佳作集に掲載していただきました。選者の一人女優の秋吉久美子様から「こりゃいいね!」も6回いただきました。

3月号にはエッセイも掲載していただきました。生まれて初めて詩誌にエッセイが載りました。感激です。

『ココア共和国』には様々な年齢の人が個性あふれる詩を投稿しています。「こういう詩もあるんだなあ」ときっと驚かれることでしょう。ぜひ一度手に取ってお読みになってみてください。紙版と電子版があり、紙版には傑作集の詩が、電子版には傑作集、佳作集両方の詩が掲載されています。

小説の方は長編を1篇、中編を3篇、短編を1篇書きました。長編は今年2月に応募するため推敲の最中です。長い時間をかけて書いてきたミステリーです。中編は3篇とも地方文学賞に投稿しました。うち1篇は落選。他の2篇はまだ選考中です。短編は月間の優秀賞に選ばれました。

他にも旧作を書き直して5篇を応募しましたが、すでに3篇は落選しています。

昨年は人とのつながりが希薄になった年ではありましたが、一方では新しいつなかりが生まれた年でもあります。そのつながりの中で書いた小説もあります。詩や小説を書くことによってそういうつながりがもっと増殖して、来年はさらに新しい作品をものすことができるかもしれません。コロナ禍も悪いことばかりではない。そう思いたいものです。

脚本は現在執筆中です。これまでは書き始めれば長いものでも半月もかけずに書き上げていたのですが、今回は時間がかかっています。7日には劇団のコンペがあります。あとはエピローグだけ。気に入ってもらえるかわかりませんが、今日明日と頑張ります。
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昨年は執筆はあまり捗りませんでしたが、その分『やまんば おゆき』公演の演出助手に集中できました。それなりに充実した年だったと思います。 今年のことはまだわかりませんが、小説は構想まで進んでいる2篇の長編、これまでも目標としてきた地方文学賞に応募する中編などを書くつもりです。それにできれば純文学作品にも挑戦したいと考えています。 今年もお見捨てなく応援よろしくお願いいたします。

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