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赤い洗面器を頭にのせた男の話 [その他]

久しぶりのブログです。

今日ドラマ『古畑任三郎』の再放送を観ていたら「赤い洗面器を頭にのせた男」のことが出てきました。
第38話「最も危険なゲーム・後編」主演は江口洋介。

「赤い洗面器を頭にのせた男」
 道を歩いていると向こうから赤い洗面器をのせた男がやって来た。洗面器には水がたっぷり入っているらしく、男は慎重にゆっくりゆっくりと歩いている。私は勇気をふるって尋ねた。
「ちょっとすいません。あなたどうして頭に赤い洗面器なんかのせているんですか?」
 すると男は答えた……。

こんな話です。
この話は古畑任三郎シリーズに5回、他の三谷幸喜作品にも何度が登場していますが、どの場合もオチが明かされず、いまだに謎の小咄なのだそうです

最初に古畑シリーズでこの話が出てきたのは1994年放送の第1シーズン第11話。桃井かおりが犯人役の「さよなら、DJ」。ラジオ番組の最中にDJはこの小咄を披露しますが、古畑に犯行を見破られてオチを言わずに終わりました。

私は三谷作品が大好きなので、もちろん『古畑任三郎』も全部見ています。だから、この不思議な小咄のことは知っていました。やはりこの小咄が出てくるドラマ『王様のレストラン』、映画『ラヂオの時間』も観ています。

そして、この小咄のことを聞くたびに2つの小咄を思い出すのですが、当時はSNSもないので誰にも伝えられずにいました。

今から40年ほど前のこと、大学の先輩の披露宴の二次会で初めてそれらの小咄を聞きました。正直、その場では何が面白いのか分からなかったのですが、なぜか印象に残って自分でも機会があるたびに話すようになりました。この小咄は一度聞いてもその面白さはピンと来ないけど、自分が話してみると聞いている人のぽかんとした反応が実に面白いことに気付きます。つまり話して楽しむ小咄なのです。

題名は『セロリ男』『バナナ男』
これらの小咄には原典があるのかもしれません。試しにネット検索もしてみましたがこの題名ではヒットしませんでした。もし原典をご存知の方がいらしたら教えてください。それから、一度聞いただけの話なので勝手に作り変えてしまった点もあるかとも思います。ご容赦ください。

『セロリ男』
 ホテルのドアマンがいつもと同じように客を迎えていた。ある日、立派な紳士がやって来た。しかし紳士はなせが耳にセロリをはさんでいる。ドアマンはこのお客さん、なんでセロリを耳にはさんでるんだと不思議に思ったが、そんなことを尋ねるのは失礼かと思い我慢した。その紳士は次の日も、その次も日もやって来た。やはり耳にはセロリをはさんでいる。それでもドアマンは我慢した。ところが4日目、同じ客が耳に長ネギをはさんでやって来た。ドアマンはとうとう我慢できずに尋ねた。
「お客様たいへん申し訳ありませんが、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、かまわんよ」
「お客様はなぜ耳に長ネギをはさんでいらっしゃるんでしょうか?」
「ああ、これかね」
 すると紳士は耳から長ネギをとって言った。
「今朝、八百屋にセロリがなかったんじゃよ」

いかかでしょうか?これを読んでいる皆さんの「えっ?」という顔が目に浮かびます。結局、お客はドアマンの質問にちゃんと答えていないので、セロリであろうと長ネギであろうと、なぜ耳にはさんでいるかは謎のままです。なんかすっきりしない小咄ですよね。

「もう一つ聞いていただくと、この話の面白さが分かっていただけるかもしれません」
私が聞いたときに話し手はそう言ったと記憶しています。だから私も同じように言って次の小咄『バナナ男』を話しています

『バナナ男』
 新幹線ひかり号に乗って東京を発った。ボックス席の向かいに男がいた。不思議なことに男の両耳にはバナナがさしてある。皮をむいてあるので空調の風を受けて皮がバタバタしている。男は新聞を広げて読んでいた。
(どうしてこの人はバナナを耳にさしているんだろう?)
 そう思ったが初対面の相手にそんなことを聞くのは失礼だと思い我慢した。だが新幹線が名古屋に近づくにつれて、男が名古屋で降りてしまえば一生謎のままであると思い、意を決して礼儀正しく尋ねた。
「あのお、不躾な質問で申し訳ありません。あなたどうして耳にバナナをさしているんですか?」
 だが、男は無視して新聞を読んでいる。声が小さかったのだろうか。勇気をふるって今度はもっと大きな声で尋ねた。
「すみません。あなたどうして耳にバナナをさしてるんですか?」
 それでも男は黙って新聞を読み続けている。なんで無視するんだ。腹が立ってきた。思わず新聞を手で破いて叫んだ。
「あんたねえ、なんで耳にバナナなんかはさんでるんだ!」
 すると男は耳からバナナを外して言った。
「すいません。耳にバナナをさしていたんで、あなたの声が聞こえませんでした」

新幹線に東京から乗ったら席は向かい合っていなってないだろうって? そうなんですよね。もしかすると新幹線ができる前の話なのかしれませんね。オリジナルは東海道線の特急なのかもしれない。
えっ? 空調の風くらいでバナナの皮はバタバタしないって? そうなんですよ。その点は非科学的なんですけど面白いのでそのまま使ってます。

細かなことはさておき、この2つの小咄って『赤い洗面器を頭にのせた男』に似ていませんか?
三谷幸喜さんも『セロリ男』『バナナ男』の話をどこかで耳にしたのだろうか?あるいは『赤い洗面器男』という同類の話があったんでしょうか?想像すると面白い。

私なりに『赤い洗面器を頭にのせた男』にオチをつけるとすると、

「すいません。家に赤い洗面器しかなかったんですよ」

とでもなるんでしょうかね。えっオチになっていないって? だから、三谷さんもあえてオチを伝えないんでしょうかね。

よし、次からは『セロリ男』『バナナ男』『赤い洗面器の男』の3つをセットで話してみよう。聞いている人が消化不良でイライラする顔が目に浮かぶぜ(笑)

いったい誰が作ったんでしょう。これらの小咄の出典をご存知の方はぜひ教えてくださいね。よろしくお願いします。
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