詩 密室の道化師 [詩]
密室の道化師 高平 九
戦争は密室で起こっているから
外にいる僕らはみているしかない
いつの間にか僕らの場所が密室になるまで
僕らは戦争が起こったことにも気づかない
蝶々が指先のようになにかをつかもうともがくけれど
つかまるのはカラスの糞にまみれた案山子くらいだ
ああ、案山子ほど口がかたい奴はいない
アリは皆口をあけてつぶやくけど
何をつぶやいているかは互いに知らない
たとえそれが真実の甘い蜜であっても
誰かが老人たちをころす
今日もまた子供を優しい日常から拐ってゆく
道化師はひとり空を見上げ
奥歯をがりりと噛み締めた
2020-03-13 15:30
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0