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『東金レットイットビー』(朗読劇)稽古開始! [戯曲]

拙作『東金レットイットビー』(朗読劇)インターネットメディア局「YASSAWAVE」で放送されることは先日お伝えしました。

8月7日(金)と21日(金)の2回キャストを少し変えて上演します。

どちらの回も稽古の一回目を終えました。LINE電話を使っての稽古でした。達者な演者の皆さんによって自分の作品に命を吹き込まれる瞬間は緊張もしますが、とても感動的でもあります。

役者さんたちはそれぞれが様々な演劇シーンで活躍している皆さんです。個性的で存在感のある演技はとても魅力的でした。

あんまりステキなので、ついつい細かなことを言いたくなってしまいます(笑)

とにかく初めての稽古とは思えない出来映えでした。本番は素晴らしいものになるに違いありません。ぜひご覧になってください。ただし朗読劇なので動きの演技はありませんので、よろしくお願いします。

時間はともに19時30分~20時。

「ブルボンまゆみの政子には負けないわよ」という番組中の生放送です。

なお「YASSAWAVE」の視聴は「yassawave.
com」で検索してください。ネットに接続しているパソコン、スマホ(iPhoneのみ)でご覧いただけます。

↓ 東金市の「八鶴湖」が舞台です。

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この写真は7日上演組の杉平政子さんが上げてくださった最近の八鶴湖の様子です。蓮の花も咲いていますね。下の写真の奥に見える白い建物は東金高校だそうです。東金御殿の跡地です。あの辺りから家康や家光が湖を眺めていたんでしょうか。

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サブテキストについて [その他]

先日、朗読劇の仲間からサブテキストについて質問されました。

「サブテキスト」とは簡単に言うと「台詞すなわちメインテキストに語られていないすべて」のことです。

実際、特に日本人の場合、人が自分の本音をストレートに表現することは稀です。現実に半沢○○さんのように「倍返しだ」という人はまずいません。大抵の人は相手にそれとなく伝わるような表現をします。「空気」と呼ばれるものも同じです。どんなに饒舌な芝居でも(例えばシェイクスピアの戯曲)本音は言葉の森に巧妙に隠されていて、優れた案内人(役者)が演じることで、やっと真意がそれとなく伝わるような仕組みになっています。

詳しく知りたい方は検索してください。

私にサブテキストの重要性を教えてくれたのは、劇団を指導していただいた西田了先生でした。きちんと演劇を学んだことのない私には、西田先生はたった1人の演劇の師です。先生はサブテキストの話をするとき、田中千禾夫氏の『物言う術』(1966年白水社)を引用なさいました。すぐに手に入れて読んでみるとこれが実に面白い。サブテキストについては内容の一部だけでしたが、日本語で話し演じることについて、たくさんの例を引いて分かりやすく論じています。

例えば、冒頭に美しい日本語の例として挙げているのが田中克巳という詩人の『美しい言葉』という詩。

終戦後、復員してきた詩人が荒廃した世俗のなかから拾った話を詩にしたものの1つだそうです。

1人の老婆が遅れている電車を待っています。老婆は独り言で、家にはマラリアで寝ている復員兵の息子がいて、自分は米を買い出して帰る途中だと呟いています。電車がようやく来ますが行列は長くて老婆は乗れるかどうかわからない。そのとき1人の娘が老婆に声をかけます。以下、詩の引用です。

お嬢さんはいった「私はもう三十分待ちますからお婆さん先になりなさいね」
聞いてる私は思わずいった
「お嬢さん、いまのお言葉は私が帰国してからはじめて聞いた美しい言葉です」
お嬢さんはみるみる真赤になった
それに気がつくと私も真赤になった

田中千禾夫氏は「先になりなさい」という当時としても古い言い回しに注目してこう書いています。

「明治末期生まれのこの作者にとっては、女性の素直でやさしい心の最もおだやかでまた女らしさの抽象にかなった表現として、今では日常語でなくなったかもしれないこの言い廻しが、最も美しいと思われたのであろう。そして語尾の『ね』でやさしさを強調し、相手に遠慮をさせまいとする」

作者はこの言い方がどこでも通用するものではないと断ったあと、次のようにまとめています。

「しかし、だいたい言えることは、素直で、気取らず思い上がらず、かといって卑下もしないで、いたらぬところがあるならあるで、己の分を知り、そして相手への思いやりにあふれている、そういう心情から出る言葉は美しいと言えると思う」

昨今のSNSにはこれとは全く逆の言葉があふれていますね。ひねくれて自分だけが正しいと思い上がって、分を知らず他者への思いやりなど微塵もない言葉ばかりです。

余談ですが、30年前、通っていたパントマイムの教室が終わったあとのことです。私が着替えに手間取って部屋に1人の残っていると、仲間の女性(80代)が部屋を覗いて「ネズミに引かれちゃうよ」と声をかけてくれました。そのとき、とても温かな幸せな気持ちになったのを今でも覚えています。

「ネズミに引かれちゃうよ」は、私が子どもの頃、仲間から離れて1人でいる子によくかけた言葉でした。「1人でいないで、みんなのところにおいで」と言うと、相手の気持ちの状態によっては無理強いされている気持ちになります。1人でいたい気分のとき、素直に仲間に入れないとき、疎外感に苛まれるときって誰にでもありますよね。そういうときの魔法の言葉です。

まさに気取らず思い上がらず、相手を無理強いせず思いやりにあふれた言葉ですよね。こういう言葉を日常に取り戻したいですね。

それにしても、引用した詩の続きが気になりますね。顔を赤らめた「私」とお嬢さんのその後はどうなったのか?現代だったら付き合っちゃいますよね、きっと。

作者の田中千禾夫氏は有名な劇作家でもあります。長崎の原爆を題材にした『マリアの首』が代表作です。

『物言う術』は古い本なのでちょっと難しいかもしれませんが、言葉について悩んでいる方にはぜひ読んでほしい名著です。


「物言う術」(田中千禾夫)を購入したい方はこちら。


物言う術 (1966年)

物言う術 (1966年)

  • 作者: 田中 千禾夫
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2020/07/21
  • メディア: -




「マリアの首」をお読みになりたい方はこちら。



マリアの首 —幻に長崎を想う曲— (二十一世紀戯曲文庫)

マリアの首 —幻に長崎を想う曲— (二十一世紀戯曲文庫)

  • 作者: 田中千禾夫
  • 出版社/メーカー: 一般社団法人 日本劇作家協会
  • 発売日: 2017/01/23
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)



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75年前千葉市を襲った七夕空襲 [その他]

75年前の7月6日深夜から7日朝にかけて、千葉は大規模な空襲に見舞われました。
その日、房総半島方面から129機のB29が飛来しました。千葉は本土を空襲する際の経路でしたから、警報は毎日のように出ていたそうです。この夜も清水、甲府方面を空襲する編隊が通り過ぎ、一旦警報が解除されたといいます。しかし、この日は千葉市が目標の1つでした。
確かに千葉は軍都の1つではありましたが、先に千葉市街地の周辺に爆弾を落とし、逃げ場を失った人々を焼夷弾で焼き、機銃掃射を浴びせるやり方は、明らかに市民の殺傷を主目的にした無差別攻撃でした。
ご存知のように焼夷弾には粘性のガソリン(ナパーム)が使われています。空中で親爆弾が割れて無数の子爆弾に分かれます。子爆弾には長いテープが付いていて、必ず信管を下にして落ちるように工夫されていました。その信管が何かに触れると火のついた粘性のガソリンが四方に飛び散ります。粘性なので建物や身体につくと簡単には消すことができません。
この焼夷弾によって起こった火災から人々は逃げまどい、その人々を今度はP51マスタングなどの小型機の機銃掃射が襲いました。当時これらの戦闘機には機銃を撃つと録画できるカメラが付いていました。戦果を記録するためだそうです。その映像は今も見ることができます。まるで戦争映画の一場面のようにしか見えませんが、現実にはその下で誰かが傷つき命を落とし、肉親や友達が泣いていると想像すると胸が痛みます。
私は米軍だけが残虐な行為をしたと非難しているのではありません。戦争というものは人間を
とことん残虐にします。家族思いのお父さんがや親思いの優しい息子が、戦争になれば機銃掃射で学校帰りの子供たちを撃ちます。ユダヤの人々をガス室に送ります。占領地の婦女を犯し、無実の人の首を斬り落とします。それが戦争だということから私たちは目を背けてはいけないと思います。
2年前、この七夕の朝のことを書き、千葉市民創作ミュージカルの原作として採用されました。『千年天女』という作品です。残念ながらミュージカルの上演はコロナ禍によって延期になりましたが、多くの市民の方に見ていただき、改めて戦争のないウィルスもない平和な日常の大切さをみんなで分かち合いたいと思います。上演の際はよろしくお願いいたします。

↓ 千葉市空襲の証言集です。

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朗読劇『東金レットイットビー』放送決定! [戯曲]

拙作『東金レットイットビー』(朗読劇)インターネットメディア局「YASSAWAVE」で放送されることになりました。

8月7日(金)と21日(金)の2回キャストを少し変えて上演します。

時間はともに19時30分~20時。
「ブルボンまゆみの政子には負けないわよ」という番組中の生放送です。

キャストは演劇、ミュージカルで活躍なさっている方ばかり。素晴らしい上演になること間違いなしです。

なお「YASSAWAVE」の視聴は「yassawave.
com」で検索してください。ネットに接続しているパソコン、スマホ(iPhoneのみ)でご覧いただけます。

この作品はもともと番組パーソナリティーのブルボンまゆみさんからの依頼で書いたものです。私が最も苦手とする「恋愛」がテーマでしたのでかなり苦戦しました。でも今回書かせていただいたことで少しだけ苦手を克服できたように思います。「恋愛」どんと来い!
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舞台は東金市にある八鶴湖湖畔。「YASSAWAVE」のお膝元です。八鶴湖は徳川家康が九十九里で鷹狩りをするために作られた御成街道沿いにあります。今の東金高校のあたりに東金御殿という休息所があり、御殿の前に人口の池が作られたのがこの八鶴湖です。今は桜の名所です。
湖畔の大漸寺には義父の墓があるため、30年近く前から毎年八鶴湖を訪れています。桜の季節だけでなく、四季を通じてとても気持ちのよい場所です。
話は逸れますが、私の友人(女性)が先日初恋の人を訪ねて金沢に行きました。御主人と娘さんたちも一緒でした。そのことを今回のキャストの一人に話すとその人も初恋の人に会いに鎌倉まで行ったそうです。コロナ禍でみんな絶対に会っておきたい人を意識したと思います。今回の物語もそういう話です。あなたは今誰に会いたいですか?
御視聴よろしくお願いいたします。

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