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落選の思い出 [小説]

この1月にも地方文学賞のB文学賞に落選しました。

連敗が続いています。なんでそんな情報を発信するのかと思う方もいるでしょうね。

私がインターネットの前身である「パソコン通信」をしているときに、教えてもらったことがあります。

「どんな情報であっても必要な人はいる」

ですから、文学賞落選の情報もお知らせしようと思います。

それにしても、B文学賞には9318作品の応募があったそうです。複数応募が可能ということで、作家の人数は6061名

ショートショート(4000字)という気安さもあるのでしょうけど、ものすごい応募数ですね。

9318作品の応募作の中から最終選考に残ったのはたったの6作品。作家数でいうと約千倍ということになります。候補に残った皆さんおめでうございます。

2月下旬の表彰式ではじめて大賞1作と佳作5作が発表されるそうです。連絡が来てから1ヶ月間は自分が大賞なのか佳作なのか分からないというのはつらいでしょうね。そのドキドキを味わいたかったような味わいたくなかったような……。やっぱり一度くらい味わってみたい(笑)

B文学賞は作家の年代別応募者数も発表してくれます。それによると、いちばん多いのが20代2651名でした。Twitterを見ると、字数制限のある中できちんと気持ちや考えを伝えている若者も多いので、そういう人にとってはちょうどいい長さなのかもしれません。

私も昨年から『ココア共和国』という詩誌に投稿していますけど、やはり若い詩人の方がたくさん応募しています。詩にしてもショートショートにして、若い人が自分の内面を表現するのには手頃な長さなのかもしれません。彼らの思いの純粋さやひりひりするような感性にたくさんの刺激をもらっています。

若者のだけではありません。60代以上の作家も1507名いました。

60代から上の人は、子供の頃に星新一、小松左京、筒井康隆などのショートショートの名手の洗礼を受けているはずですから、それを思い出して書きたいと思う人も多いのかな。私は特にフレドリック・ブラウンが好きで、中学生の頃にブラウンの作品を真似てショートショートみたいなものを書いていました。

今から30年近く前に「パスカル短編文学新人賞」という変わった文学賞がありました。第1回は川上弘美さんが『神様』という作品で大賞に選ばれました。『神様』はとても素敵な作品で、今では教科書にも掲載されています。その第3回の最終選考に私の作品も残りました。

当時はまだインターネットではなく「パソコン通信」と呼ばれていた時代でした。文学賞の応募も郵送が普通でしたから、メールで応募できる「パスカル短編文学新人賞」は当時としては画期的な文学賞でした。

さらに透明性を重んじるために、応募作品すべてに審査員が点数をつけて短い評もいただくことができます。審査員の1人は筒井康隆先生でしたから、多くの筒井ファンが応募していました。この時、私は80点という点数をいただきました。確か川上さんが受賞した時の点数が82点だったので、大喜びしたことを覚えています。筒井先生が80点以上をつけたのは私ともう1人だけで、私の作品が最高点でした。他の審査員の点数もおおむね良く、応募者も互いの作品の批評をするのですが、その評価も悪くはなかったので、私は密かに期待していました。

応募総数は172作品。最終選考に残ったのは14作でした。

この賞の最終選考は有楽町マリオンで公開されました。壇上に審査員が並び、最終選考に残った作品について審査するのです。

ところが私の作品の番になった時に、筒井先生が開口一番「この作品は読み直してみたらそれほど良くなかった」とおっしゃったのです。私は椅子からずり落ちそうになりました。

後ろに座っていた若い女性たちが「かわいそう」と漏らすのが聞こえました。

しばらくは笑い話として人にも話し、自分でも大したことはないと思っていました。しかし、それ以降、全く小説が書けなくなりました。4年前に定年退職するまで、劇団で上演するための脚本を書きましたが、小説は書けませんでした。おそらく自分でも知らないうちにをやられていたのだと思います。

今さらですけど、悔しいときには悔しい、悲しいときには悲しいと表現するべきだったなと思います。自分はもっと強いはずだと虚栄を張ると、結局はを食われます。

だから、ああ悔しい。B文学賞もだめだった。くそっ!

と言わせてください(笑い)
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