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歌(詩) [詩]

詩 「歌」   高平 九

トリが神様を讃える歌を作った。
神様はたいそう喜んだが、ネズミだけは歌わなかった。
トリはネズミに文句を言い、トラに今度歌わなかったら食ってしまえと命じた。
ネズミはそれでも歌わなかった。神様が嫌いなわけでも神様への感謝がないわけでもない。でも歌えと命令されるのが嫌だった。ネズミはトラに食われてしまった。でも、ネズミはたくさんいるのですぐに代わりがやってきた。どのネズミも歌を拒否して食われてしまった。
1年に一度神様を讃える日がやってきた。トリはここぞとばかりに神様を讃える歌をみんなに歌わせた。やはりネズミだけが歌わなかった。そこで、トリは神様に訴えた。
「ネズミめはいくら言っても神様を讃える歌を歌いません。こんなものが干支の一番にいるのは納得できません。どうか神様を讃える歌を作ったわたくしを一番にしてください」
神様は言った。
「トリよ。わたくしを讃える歌を作ってくれたことには感謝しておる。じゃがな、他のものに歌えと無理強いするのはどうかのお。感謝は歌うことだけではない。それぞれのもののやり方に任せるべきじゃ」
その言葉を聞いたトリは自分の忖度が謝りであったことに初めて気づいた。トリがネズミに謝罪をするとそれからはネズミも神様を讃える歌を大きな声で歌うようになったとさ。

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