卒業のソネット 高平 九
くたびれた上靴が 今日だけはおとなしく並んで
壇上のあなたの背中を見つめている
あなたは年寄りの繰り言のようなことばを
長々とつむいでいた
青春をまき散らしたフロア 今日はなんのにおいもしない
ボールが弾ける音もない
私は思わず透明なスコアボードを見た
この3年間の試合にわたしは勝ちを得たのだろうか
鋭く響く試合終了のホイッスルを聴いたように
あなたの背中がふいに震える
優しい歌がはじまり 雨の音がそれに重なる
桜は散ってしまうだろう
笑顔で卒業証書を振り上げながら
わたしたちは雨の中に飛び出してゆく
2016-02-23 23:17
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